好きだと伝える魔法があれば 《後編》

F 78 ページ36

「俺さ…

……同じだよ」



「え？」


優しい声で発してくれた北山の言葉。



「俺、ずっと前から藤ヶ谷のこと、好きだ。

でも言えなかった。

好きだから…。

…おまえがあんなことになって、

最初は本当に幽体離脱だと思ってたけど、

藤ヶ谷覚えてないし、俺の作り出した幻だったんだなって」



「きたやま…」


北山が、俺のことを？


ずっと前からだなんて…


信じられない。



「でも、幻じゃなかったんだな」



「うん…」


「…よかった」


「北山…」


安堵の表情で俺を見てくれる。



「藤ヶ谷が戻ってきて、よかった」


優しく微笑みかけてくれる。


久々に見た、俺へ向けてくれる笑顔。



「好きだよ、北山。

ずっと好きだった。

傍にいたかった」



改めて想いを伝える。



「じゃあ、これからはこの距離でいよう」



「うん」


まっすぐ俺に伝えてくれる。


そのまま、もう一度抱きしめられた。




北山と…想いが繋がったんだ。







告白する魔法なんてどこにもない。


自分の手で掴むしかないんだ。


遅くなってしまったけれど、想いをあの時伝えていてよかった。


北山から想ってもらってた事実もわかってよかった。




「北山、好き。

好きだよ」




この想いが俺の全て。


ぎゅっと北山の背中に両手を回す。


「俺も好きだよ、藤ヶ谷」



そっと唇が触れ合う。

優しいキス。


初めて触れたキス。



あの時とは違う…

北山の存在を感じる。


蕩けてしまう…。


「ずっと、俺の傍にいて」


北山からの告白。


「俺、離れないよ？」


この場所に戻ってこれたんだから。



「俺も、もう絶対に離さない」



そう言って、甘い甘いキスをくれた。








end.


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