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ハロウィンの夜に ページ48

『トリック・オア・トリート!お菓子くれねーとイタズラするぜ』

ニシシと歯を見せて笑いながらそう言う彼にため息をつく。

ごそりとポケットを漁って、飴玉を一つ彼に向かって投げた。

ころりと音を立てて床に落ちたそれを一瞥して、彼に背を向けた。

背中越しに伝わる悲しそうな彼の気配に胸がツキンと痛む。


本当は、何も知らないふりをして彼がいなくなるのを待つのがいいのだろう。

分かってはいるのだけれど。


ちらりと背後を振り返る。

彼は何度も落ちた飴玉を拾おうとして、何度も拾うことの出来ない己に涙していた。


じわりと涙が滲む。

彼を抱き締めるようにして広げた両腕が空を切る。
空気の塊を掴んだような感覚。

彼はそこにいて、そこにはいない。


腕の中で戸惑ったような表情を浮かべた彼の顔が徐々に崩れていく。

透明の雫が彼の頬を伝って、地に落ちることなく消えていく。


彼に軽く肩を押されたような気がして身を引く。

彼は泣き笑いのような顔をして淡い光に包まれた。


『大好き、だったよ』


ありがとう。
美しく輝く彼の瞳に見つめられて、光に消えた彼に愛していたと呟いた。




─ハロウィンの夜に─END

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八重(プロフ) - カシオペアさん» ありがとうございます!!まさかこっちまで読んで頂けるとは……その上コメントまで……本当に感謝します(*/□\*)上手なんて、恐縮です……(でも嬉しい)頑張ります!ありがとうございます!本当に!!! (2017年7月3日 21時) (レス) id: e19e44ac0b (このIDを非表示/違反報告)
カシオペア - ヒロアカの方を読んだので、こちらものぞいてみましたが本当に文を書くのが上手なんですね。一つ一つが短くて読みやすいです。更新、頑張ってください! (2017年7月3日 20時) (レス) id: 972c361b83 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:八重 | 作成日時:2017年4月24日 2時

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