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『き、んとき様、』
きんとき様は何も言わず其の儘私を抱き締めた。
その温もりが全身に伝わって心が安らかになる。
相変わらず胸の高鳴りは煩いけど、物凄く落ち着く…。
私は全身の力を抜いて預けようとした。
でも…
『きんとき様、もう、大丈夫です』
そんなに簡単には素直になんてなれなかった。
また彼の優しさに甘えて仕舞えば別れが辛くなる。
彼の傷ついた顔は見たくない。
私は胸元を軽く押して体を離した。
意外にも呆気なく離れてくれたきんとき様に少し寂しさを覚えながら、合わせる顔など無くて下を向く。
しかし次の瞬間、
ふわりと体が浮かび上がる。
「ごめんスマイル、A連れてくね」
ハッとした時にはもうきんとき様に横抱きにされていた。
後ろから、え‼︎きんさん⁉︎とぶるーくの声が聞こえたがきんとき様は特に反応しなかった。
其の儘きんとき様の部屋へ辿り着けば
ベッドに優しく私を寝かせ、隣へ腰掛けた。
『どうして…』
「Aが辛そうな顔してたから」
彼は迷い無くそう告げた。
ふと、あの時の事が頭をよぎる
---
『きんとき様』
「ん？」
『きんとき様は、もし私が居なくなったらどうしまs…』
「探すよ」
『…、』
「俺はゆりなに側に居てほしいから。だから探す」
---
あの時も、彼には迷いが無かった。
そしてその言葉を発した彼は、先程スマイル様が言っていたのと該当する気がしたのだ。
きんとき様は、私がいなくなったら探すって言ってくれた。
嘘だとしても、側に居て欲しいと言ってくれた。
もしかしたら、私が居なくなったら、
彼は悲しむかもしれない。
残された側だと感じてしまうのかもしれない
なんて、自惚れた事を考えた。
「A」
『はい』
「今はゆっくり休んで。」
『ですが、』
「側にいるから」
『………』
パーティの途中なのに、
きんとき様に課せられた仕事があるのに。
きんとき様だってきっとやらなければいけない事は沢山あるはずなのに。
でも、婚約者さんより私を優先してくれてるのかな、と思って仕舞えば後は開けた瞼をゆっくり閉じていくだけだった。
＊
＊
＊
ベッドで寝息を立てるAの頭をきんときは優しく撫でる。
その表情は余りにも甘くて、まるで愛おしい人を見ているようだった。
暫くすると
ぶるーくが静かに扉を開けて部屋に入ってきた。
「Aは？」
「眠ってる」
それを聞いた後ぶるーくは安心してソファに腰掛けた。
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٩( ᐛ )و - 一気読みさせてもらいました！すごい美しい物語で…語彙力が溶かされました()心情の描き方がすごく柔らかくて細かくて心にくるものがありました！この物語に出会って楽しかったです！ (2022年12月23日 17時) (
レス) @page42 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - あずきさん» コメントありがとうございます…！！！わあああ嬉しいです…！！！！これからも頑張ります^^ (2022年9月30日 20時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
あずき - 完結おめでとうございます！！これからも応援させてください~！！⸜🙌🏻⸝ (2022年9月30日 19時) (レス) @page43 id: fed7a00a2d (このIDを非表示/違反報告)
ゆー(プロフ) - せなさん» コメントありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです‼︎頑張ります^^| (2022年8月6日 2時) (レス) id: ad479b9abd (このIDを非表示/違反報告)
せな(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです...。。更新頑張ってください！ (2022年8月2日 1時) (レス) @page15 id: 4799d8c49a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆー | 作成日時：2022年7月23日 17時
