【謙遜彼氏】 ページ7
『あなた、私が使っているサイトの………』
「あは、バレちゃいましたー?
そうなんです、実は事務所この近くなんです。」
「先日は申し訳ありませんでしたー、
でもっ、よくこんな所まで来ましたねっ、ふふッ」
『……………』
まるで、馬鹿じゃないのとでも言いたげな顔である。
言いたいことは御尤で、反論する余地はないが。
日替わりで、色んな男とデートして寂しさを埋められる。
レンタル彼氏っていうのは、ソレがウリなんじゃないの………?
「………支配人、俺の…指名料金を免除してほしい。」
『………!』
「な、何を言っているのですか??
貴方には、これから何人もの女性との約束があるというのに_______________。」
「彼女は、満足出来なかったようだ。」
その言葉を聞いて、肌に霜が降った感覚がした。
そ、そりゃあね、これであの金額は不釣り合いだけど。
こっちだって、意地ってものがあるし。
何無愛想な顔して、そんな謙遜………。
「何だってそうだろう………?
全うすべき職務には、重責を果たす義務がある。」
『………それを決めるのは、私です。』
『私は、払いますよ。』
『今日は、ありがとうございました。』
「………あぁ、ありがとう。」
私が頭を下げている間に、彼は何も言えなくなったのだろう。
そうして、彼はあの女と共に去った。
あの"ありがとう"は、申し訳ないの意が込められていた気がする。
レンタル彼氏としては最低。
でも。
人としては、出来た人だったのかもしれない。
周囲の視線を浴びたくなくて、外の空気を吸いにカフェを出た。
………ん?
なぜか、カフェ前の橋の上で先程の彼がいた。
「はい、承知しました。______殿。」
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作者名:雪月花 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/38714f458f1/
作成日時:2023年8月27日 3時