【訳あり彼氏】 ページ6
『あの、お職業は何されているんですか？』
「………それは…。」
「今、探しているところだ。」
『あ、わ、私もです…』
「…そうなのか」
わ、訳アリなのかな？
………また、顔だけなんだ。
上質なスーツな割に、寝癖ついているし。
職、ないし。
ホストで、食っていけると思うなよ。
その間も、常連客が話していた悪い噂でカフェ内が充満する。
…………怖いな…。
で、でも、領主さまとかが、守ってくれるから。
大丈夫だよね………。
私の体は、不安で身震いしていた。
「………心配するな。」
『…えっ』
「…お前が心配することはない。」
『だ、だって………恐いじゃないですか………っ』
「大丈夫だ」
は、はぁ？
何を根拠にそんなこと言ってるんだか。
もう、帰りたい。
調子乗って引っ越してきた先は、治安最悪。
そして、また多額払ってもレンタル彼氏はハズレ。
つらいよ……っ。
涙で視界が歪んできて、出て行こうとした時。
彼に、腕を引かれた。
『やっ、』
「____________俺が守る。」
『だっ、だから………！』
「はいはーい！そこまででーす」
『…えっ？え…………』
彼が、また戯言を言い出したかと思えば。
心底、ウザそうな女が現れた。
そいつは、私と彼を引き剥がすように間に入ってきた。
その女に、カフェ内は釘付け。
「もぉー、何やってるんですかー？」
「………流石に、初対面の相手の手を引くことが良くないことは分かる。
お前も、すまなかった。」
『…………』
「あーもー、ごめんなさいねー？
あぁ、シルバーさんったら………だからアレほど私が……」
「………いや、俺は…」
何、これ…………。
まさか、彼女………？
それにしても、この女惚れてるだろ。
………ぉん？
ふと、女の胸元のバッジに、目を奪われる。
まさか………。
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作者名：雪月花 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/38714f458f1/
作成日時：2023年8月27日 3時
