【前代未聞彼氏】 ページ2
「おまたせ。」
『…………え?あっ、すいません。』
「ううん、行こうか。」
『………………はい。』
……………なに?この手は…。
やっと来たこの男は、私の待ち人ではあったが。
遅刻したにも関わらず謝罪すらなく、平然と手を差し出してきたのだ。
前代未聞、こんな男は初めてである。
こいつ、顔だけか………!?
こっちが、どれだけ金払ってると思ってるわけ?
無論、そんなことを言える筈もなく………。
行き着いた先は、ゲーセン。
は、はぁ………?何のお遊戯に付き合わされるわけ…??
しかも、こいつ手汗かきすぎ。
『………あの、何処に行くのでしょうか?』
「あぁ、言ってなかったっけ。
オレ、所謂さリズムゲー好きなんだよねぇ〜」
『え?でも、それって一人でするものじゃ………』
「ごめんごめん!
二人用もあるよ………!」
『…………』
…………は?
これ、誰の為の"デート"だよ。
固まる私を拒否したのだと見做したのか、一人でダンスをしている。
ド新人、顔だけのステータス、高い料金。
その全てが揃えば、私は簡単に苛立った。
どっちがレンタルされてるか、分からない。
…………レンタル彼氏、失格。
「ごめんね、君は何かしたいことは?」
『………すいません、ちょっと体調が悪くなってしまって…』
『お代はちゃんと払いますから、失礼します。』
「う、うん……」
本当は、払いたくない。
お前みたいな男の為じゃない、私のプライドがそれを許さないだけ。
私は、騒々しいこの場所から早々に立ち去った。
『はぁあ"ぁぁ』
家に着くと、力が抜けて、ベッドに倒れ込んだ。
何だったの、ほんっとあの男………!
今日は、間違いなく厄日だ。
こんな日は、晩酌でもしてやろう。
しかし、睡魔に抗えずそのまま瞼が閉じてしまった。
ピロンっ
『………ん、なぁんか鳴ったぁ?』
スマホの通知音に無理やり起こされてしまった。
今、何時だよ………。
重い体を起こせば。
私が使っている、【レンタル彼氏のサイト】からのメールだった_______________。
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作者名:雪月花 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/38714f458f1/
作成日時:2023年8月27日 3時