初めての笑顔 ページ7
〜sen side〜
「っわぁ……めっちゃきれー……」
オレンジに近い瞳をきらきらさせながら此奴はそういった。
「手当するから、そこ座り」
「はーい」
今度はジトっとした目で椅子に座る。
膝まづいて、救急箱を自分側に寄せた。
血の匂いが濃くて、くらくらする。
「お前、よぅこの足で走れたな」
「まぁ、命懸けだったんで」
踵には木の破片が所々刺さっていて見てるこっちも痛みを感じそうだった。
「……痛いかもしれへんけど、我慢しぃや」
「ｯたい、」
「我慢しぃ言うたやん、アホか」
声をかけた直後に痛いと声を漏らすそいつが可笑しくて、つい笑ってしまう。
「…センラさん、でしたっけ」
「せやけど？」
「私、そうやって笑ってる方が好きです。」
「……っ、お前、何言うてんの？」
「ヘラヘラ社交辞令みたいに嘘だってバレバレの笑顔より、今みたいな……子供っぽく笑ってる方が好きです、私は。」
言葉が返せずに詰まっていると、今度は上から笑い声が漏れた。
「へへ、私の勝ちですね」
無邪気に、怖いものなんて知らないようなその笑顔に、目が逸らせなくて。
何故かそれに苛立ちを覚える。
口なんて聞かなさそうな見た目してるくせに、思った言葉ストレートに伝える此奴がわからない。
つい手に力が入って、包帯をキツく巻いてしまった。
「ｯ……いだいんですけど、」
「我慢しぃ言うたやん、何回言わせるん？」
「私は痛みに弱いんです。もう少し配慮してくれてもいいじゃないですか」
「じゃあ自分でやればええんやないの」
「わぁセンラさん手当するの上手ですねぇ」
棒読みでそういう彼女と目が合った。
すると彼女は吹き出して、ふふ、と笑いだした。
「なんやねん」
「なんでそんなに眉間にしわ寄せてるんですか？イケメンが不細工になりますよ？」
俺よりもずっと小さな指が眉間をぐりぐりと押した。
暖かくて、優しく僕に触れているその手から血を抜いてしまおうかと考えている所で、そっと手が離れていった。
「……手当おしまい」
「ね、センラさん、ありがとうございました。」
ふわ、っと微笑んで礼を言われると調子が狂いそうで。
「ほな、僕はこれで……」
出ていこうとすると、服の袖が引かれた。
振り向けば苦虫を噛み潰したような表情で俯き気味の彼女が目に入った。
「…なんで1人にするんですか。怖いんですけど。」
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ての(プロフ) - Naoさん» ありがとうございます！頑張りますね、！ (2019年11月21日 22時) (
レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - 今までのアルバムのソロ曲の歌詞が出てきて、その歌詞のおかげでどんな状態なのかもよくわかって、すごく読みやすいし、面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月21日 16時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - ミトさん» 嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - 初コメ失礼します。 読んでいて、すごく面白かったです!続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: d0ac5e5cac (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - Naoさん» 気づいて頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (2019年11月18日 22時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ての | 作成日時：2019年11月17日 21時
