ふーふー ページ16
〜sen side〜
「お粥作ったんやけど、食欲あります？」
虚ろな目で僕を見つめる彼女に問いかける。
「…あんま、ない、」
「辛いと思うけど、少しでも食べなあかんよ」
「…んー、」
曖昧に返事をする彼女は苦しそうで。
それを見るこっちも苦しくなりそうだけど、食べ物を口にしないのはますます体を悪くすると聞いたことがある。
だから、Aの背中を支えながらゆっくりと起こした。
「センラさんがいじわるするよぉ」
「Aの事を思ってやってはるんです」
「うー……だるい…口があかない……」
「安心しぃや。ちゃーんと開いとる」
れんげでお粥を1口分掬って彼女の前に差し出す。
「…え、いいよ置いておいてくれれば勝手に食べ、っん、む」
いつまで経っても食べる気配がないから、一応ふーふーして相手の口にそれを突っ込んだ。
すると、まだ熱かったのか、目に涙を浮かべながら一生懸命に口の中へ空気を送り込んでいた。
その間、時々僕を睨んできたけど、全く怖くなくて、寧ろえろい。うん。
「……なぁ、僕のこと煽っとるん？」
「んぐっ……ふぅ……はぁ…………なんで？」
「そんな男誘うような顔しとると襲うで」
やっと飲み込んだらしい彼女にそう言うと眉間にシワを寄せながら、「病人になんて事言うの。」と再び睨まれた。
「はぁ……わざとなん？」
「…………うらたさん呼ぶよ」
“うらたさん”というワードに引っかかった。
昨日までは、“たぬきさん”だったのに、何故か今は“うらたさん”になっている。
でも知らないフリをして言葉を続けた。
「…………ふぅん、呼んでみたらええんとちゃいます？」
「もういいですぅ、もう寝ますぅ」
拗ねたように唇を尖らせて布団に潜り込んでしまった。
「…お粥、冷めへんうちに食べてな？ここ置いとくから」
「ん、……ありがと、」
部屋を出ると、うらたんが立っていた。
壁に寄りかかって、腕を組みながらこちらを見ている。
「俺がなんだって？」
「べっつに？なんもありませんよ」
「Aが、うらたさん呼ぶよ、って言ってただろ」
「…どこまで盗み聞きしてはるんですか」
「お前に言われたかねぇな」
その声には答えないでそのまま自室に向かった。
なんだか疲れている。
寝て起きたら彼女が元気になっていますように、なんて柄にも無いことを考えていた。
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ての(プロフ) - Naoさん» ありがとうございます！頑張りますね、！ (2019年11月21日 22時) (
レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - 今までのアルバムのソロ曲の歌詞が出てきて、その歌詞のおかげでどんな状態なのかもよくわかって、すごく読みやすいし、面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2019年11月21日 16時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - ミトさん» 嬉しいです！ありがとうございます！ (2019年11月18日 23時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
ミト - 初コメ失礼します。 読んでいて、すごく面白かったです!続き楽しみにしてます。 (2019年11月18日 23時) (レス) id: d0ac5e5cac (このIDを非表示/違反報告)
ての(プロフ) - Naoさん» 気づいて頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (2019年11月18日 22時) (レス) id: 8747774e09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ての | 作成日時：2019年11月17日 21時
