さすがに想定外

episode9 ページ10

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これから、どうしようか。


確実に側仕えの仕事は続けられない。これから体調も酷くなるかもしれないし、何よりお腹も大きくなっていく。

それに、次期当主の子供だなんて、どうなるか分からない。




禪院直系の血が流れ込んでしまったのだ。相伝の術式を持って生まれる可能性だって０じゃない。この子が持って生まれなくても、この子の子供が持って生まれる可能性はある。




これが露見した瞬間、この子の未来はもう普通ではいられない。





(……逃げないと)




赤ん坊に罪はない。この子を堕ろすなんてしてはいけない。



別に奪われたことなんて、正直どうでもよかった。むしろ、相手がよく分からないキモイオッサンとかじゃなかっただけマシだ。

頭にあるのはどうすればこの赤ん坊を守れるか、ということ。

自分でも信じられない。自分は母親になる気でいるのだ。心持ちが母親のソレへと変わっている。






それならまずは禪院家から出ていかねばならない。


あの、直哉様の元から離れなければならない。


チクリと心が痛む。思い出したのは一ヶ月前、自分で言ったあの言葉。



『貴方様が私を側に置いてくださる限り、私は貴方様に仕えていたいと思っております』



あの言葉に偽りはなかった。あの人のそばにいたかった。

でも、もう無理だ。





確かもうすぐ直哉様は遠方へ出張へ行かれる予定だ。九州の方まで7日間前後ほど。辞めるならその時しかない。私は直哉様の側仕えだが、私を雇ってるのは大きな目で見れば禪院家だ。つまり、禪院家当主様。


その人が私が辞めることを認めれば、直哉様は何も言えない。





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