いらっしゃいませこんにちは。【w.r.w.r.d.!】

今日も今日とて40 ページ45

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受験に失敗し、悲しみに浸りながらもバイトは続けていた。





そんな時、唯一私のことを気にかけ、心配してくれたのは。


友達も碌に出来やしない私の、話し相手となってくれたのは。






いつの間にか、彼らと毎日会話することが楽しくなっていた。


こんな日々がこれからもずっと続いていくと思っていた。
未来(さき)のことも考えず、今ある幸せを噛み締めながら。





「人ってな、今自分が置かれている幸せに気づくことが苦手なんよ。」


「1度失ってみないと、分からない。」


「その幸せが当たり前だと、思い込んでしまうから。」





とぎれとぎれに語ったオスマンの瞳が、私をやさしくみつめる。

そうか、私は、なんて事を。


少なからず、私を心配してくれていた彼らの顔を、よく思い出す。



『Aちゃん居らんくなったら嫌やから、考え直してや。』



昨日の言葉が蘇る。
いきなりの電話に戸惑い、出てみれば彼らからで。

ゾムさんに言われた言葉。

私は昨日、彼らに随分と失礼な態度をとったのではなかろうか？




「.....謝らなきゃ、なぁ...。」




無意識に口から零れ落ちた言葉に、目の前の彼が反応することは無く、ただこちらを見つめるだけだった。



「...それ、鳴ってんで。」


「あ、すみません、少し、外します。」



束の間の沈黙のあと、オスマンが私のバッグを指さし、言った。
中のスマートフォンが振動しているのを確認し、席を立つ。

廊下に出たところで、壁にも垂れながらスマホを開く。どうやら、メッセージが来ているようだ。




『A先輩、昨日はすみませんでした。先輩が嫌じゃなければ、また、俺たちとお話して欲しいです。たまにでいいので、連絡して貰えると嬉しいです。』



一通り目を通した時、思い出がこみあげて来た。


彼に行ってらっしゃいと言ったこと。

彼をお疲れ様ですと労ったこと。

彼と友達になったこと。

彼と一緒に帰りながら沢山話したこと。

彼がチョコレートをくれたこと。

彼とバイクに二人乗りしたこと。


忘れていた感謝が、今更になって浮き上がる。




それでも、私が選ぶのは___________





...

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