いらっしゃいませこんにちは。【w.r.w.r.d.!】

今日も今日とて32 ページ32

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ぴろん、と私に似合わぬ可愛らしい音を立ててメッセージを受け取った携帯。

友達かな、と開いてみると、ショッピくんからだった。


バイトのこと？私これから少しいないんだけどなぁ、なんて思いながら見てみると、泣いている絵文字とともにこんな文章が届いていた。




『A先輩、今日からお休みになったんですか？！俺全部被ってたんで、寂しいです。』




あ、ショッピくんに言うの忘れてたなぁ。
彼からのメッセージに健気さを感じて少し良心が痛む。

ごめんね、言うの忘れてた。と謝罪をし、実家に帰省するという旨を記し、送信する。



すぐに既読がついたため、ずっと私とのトーク画面開いてたんだなって思ったらなんか可愛く思えてきた。



『そうだったんですか！ご両親によろしくお伝えください(笑)』



すぐに届いた彼からの返信に、どういうことだよ、と笑いながら返していると、玄関の扉が開く音がした。


どうやら父が帰宅したらしい。



…




「にしても、大きくなったなぁAも！」


「ちょ、ちょっとお父さん重い！！苦しい！！」





懐かしい母の手料理達が並んだ食卓で、隣に座った父は私の肩に手を回し豪快に笑った。


父は昔から明朗快活な人だった。
大阪行きに反対した母を説得してくれたのも父だ。
父には沢山お世話になっているが、酒が入ると絡みがめんどくさいところはあまり好きじゃない。




「あ、そだ。お母さん、話したいことって…？」



「あ、そうそう。ね、A。お父さんとも話し合ってみたんだけどね…」




先程までの穏やかな雰囲気は何処へやら、一気に真剣な顔つきになった両親に私も緊張感を感じる。




次に母の口から発せられた言葉の意味を理解するのに、たっぷり数十秒掛かった。






「………え？お、お見合い？」





「ええ。あなたもそろそろ安定しないと駄目だと思うのよ。あ、もしかして、あっちで恋人でもできた？」






当然、そんなものはいないし、今までいたこともない。

だけど、いきなり、そんな。



どうやら二人はもうお見合い相手を絞っているようで、私の了承さえ取れれば相手方に連絡をする気でいたらしい。

そっか、これか。私をここに呼んだ理由。


お見合いをし、無事結婚に至ればこの地で安定して暮らせる、大阪にいる必要もないだろうと静かに語りかけた父の瞳には、これまでの不安がたくさん渦巻いていた。

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