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貴「ん、んん…?」
気付いたら、朝になっていた。
もったいないことしたかも
もっと話してたかったのに…
すぐ隣に虹村が寝ていた。
遠征のバスの中とか、授業中とか
虹村が寝ている所を見たことはあったけど
ここまでその寝顔をじっくりみたことはなかった。
イケメンな後輩達のせいで霞んでるけど
虹村も結構整った顔をしている。
頭を撫でると、緩んでいた口が尖った。
ふふ、かわいい。
あひるのようにとんがった唇を
ちょんちょんと触る。
うん、かわいい。
ちゅーしても起きないんじゃない…?
なんて悪魔の囁き。
今なら出来そうだけど、バレたら大惨事だ。
たくさん考えた結果、
事故だと言い訳ができそうな、
ほっぺたにちゅっとしてみた。
ら。
眉間にしわがよって、
みるみるうちに顔が赤くなった。
え
虹「ごめん、起きてた。」
言いずらそうに目を開けた虹村。
貴「あ、え、ごめん」
顔がぶわっと赤くなるのを感じて、
顔を見られないように起き上がった。
は、恥ずかしい…
虹「なぁ、俺もしていい?」
虹村は起き上がって、私に迫った。
貴「え、」
虹「いい?」
虹村の銀色の目が私の目を捉えた。
貴「…うん」
虹村は私の頭に手をそえて、引き寄せた。
あ、ほんとにしちゃうんだ
虹村との距離がだんだん近くなる。
その時。
コンコンッ
黄「朝ご飯っスよ〜!」
黒「黄瀬くん、周りの方に迷惑なのでもう少し小さな声で」
黄「あっ、ごめんっス!」
青「いや小さかったら聞こえねーだろ」
外から後輩達の声。
虹「もうそんな時間か…」
そう言って虹村はすくっと立ち上がって
扉を開けて後輩達と話し始めた。
虹「すぐ行くから先行っとけ」
黒「はい、分かりました」
黄「寝起きっスか?」
虹「まじでさっき起きたわ」
青「夜遅くまでAさんと何してたんすか?」
虹「うるせーな、普通にお前らの部屋行ってからすぐ寝たわ」
青「えー、もったいな!」
虹「分かったから早く行け、な?」
はーい、と返事をした後輩達は
素直に朝ご飯に向かったみたいだ。
虹「よし、準備するか」
貴「ん、うん…」
あーあ。
虹村は何事も無かったかのように
準備を始めている。
なーんだ。
こんな簡単にさっきのこと
なかったことにされちゃうんだ。
虹「おら、早くしろ」
貴「はぁい」
私もしぶしぶ身支度を始めた。
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作者名:夢莉 | 作成日時:2019年8月14日 16時