26 ~虹村side~ ページ35
虹村side
すうすう寝息をたてるA。
話していたら段々目がとろんとしてきて、
頭を撫でていたら寝てしまった。
好きって言ったらきっと
私も、なんて言って笑ってくれるんだろうな、と
かわいい寝顔を見ながらふと思った。
虹「A、好きだよ」
Aの柔らかい唇に口付けた。
A本人も知らない
Aのファーストキスは俺のもの。
高校生になったら、
もっと大人になったら
俺の事なんて忘れて
何も知らない顔で
俺の知らない男とキスをして
初めてだなんて言って
ふにゃふにゃ笑うんだろうな
そんなの嫌だ
ムキになってもう一度口付けようとしたその時。
貴「に、じむら」
やべっ
起きてた…?
虹「なんだ?」
寝惚けてんのか?
貴「すき」
心臓が、止まった気がした。
虹「俺も好きだよ」
貴「へへ」
ふにゃふにゃした顔で笑って
またすうすう寝息をたてて寝てしまった。
好きって伝えられるって
こんなに幸せなことなんだ
今までずっと
伝えられなくても構わないと
思っていたけれど
知ってしまったらもう、
戻れない。
かわいい
すきだ
あいしてる
あー、ちゃんと言いてぇな。
いつになったら言えるんだろうか。
それまでAが待っててくれるんだろうか。
いちばん幸せな日に
世界一愛おしいAの顔を見ながら
少しだけ泣いた。
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作者名:夢莉 | 作成日時:2019年8月14日 16時