クリエイターシンドローム

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彼らが良く行くという居酒屋に到着し、
すでに2時間半が経過していた。

みんないい具合にお酒もまわり、
アメリカ企画のアイディアもどんどん膨らんでいく。

そんな賑わいの中で、ふと鳴った着信音。
スマホの画面を見ると、どうやら会社からの電話。
私はみんなに「ちょっとごめん」と残し、
席を離れて店の外へと移動した。

―――

しばらくして用件も終わり、
再びテーブル席に戻ろうと踵を返すと、
喫煙所にタバコを吸いにきた土井谷君と鉢合わせた。

「お店の中で吸えないと、ちょっと面倒だね」
「ほんと、喫煙者の肩身がどんどん狭くなります」

土井谷君はそう言いながら、
箱から出したタバコに火をつける。

「企画の件、承諾してくれてありがとうね」
「いや、全然、反対派俺だけでしたから」

笑いながら肺の中にタバコの煙を入れ、
一気に外に吐き出しながら土井谷君は答えた。

「1人だもんね、1週間。心細いかもしれないけど」
「いや、俺はどっちかというと」

まあそれもそうなんですけど―
そう呟くと、

「1週間、せっかくアメリカいるのに」
「うん」
「Aさんと居れないのが、結構さびしいかも」

そう言いながら、タバコを吸うのとは反対の手で
後頭部をわしゃわしゃと掻く。

「ま、1人ってのがそもそもさびしいんすけどね」

じゃ、俺戻りますね。

土井谷君はまだ吸いかけのタバコを灰皿に押し付け、
みんなの居るテーブル席へと戻っていった。

＊＊＊

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