引き立て役の私だって主人公になりたいとか思ったけど夏終わるし諦めよう。

9.画面越しの会話 ページ9

＊





結局あの後、半ば強引に交換された連絡先。

小瀧さんは満足した顔で去っていくけど、私は心臓バクバクで。



お美しい小瀧さんの連絡先に、こんな可愛くもクソもない私が入ってるなんて信じられない。

本当にこれは現実で、ありえることなのだろうか。




頬を抓っても覚めない現実に、数分遅れて舞い上がる。


嬉しくて、幸せで。






『ふふ、』







"引き立て役"から1歩だけ、下がった気がした。

"主人公"に近づいてるような感覚で、自惚れてはいけないけれど、あのお美しい方の隣にいれば……なんて考えちゃう。




わかってる、小瀧さんを利用して"主人公"になるなんて、そんなの無理だってわかりきってる。

けど、ほんの些細な希望。

少しぐらい思ったってバチは当たらないでしょ？






『っ、しゃー！』






大きくガッツポーズして、携帯を覗く。

いつの間にか届いていた小瀧さんからのメッセージは、可愛らしくも"よろしゅうな！"と、兎のスタンプ。



ここから始まる展開……少女漫画で言ったら、恋？



……小瀧さんと、恋。

いやいや、ありえない。





少し熱くなる顔は無視して、

"こちらこそよろしくお願いします！"っと返信し、電源を落とした。







＿＿






"「おはよーさん」"

"「今日は何限目から？」"






私がちょうど起きた頃に届くメッセージ。

連絡先を交換した次の日、

小瀧さんとのトークは頻繁に行われてて。




私とやり取りして時間大丈夫ですか？って心配になって聞けば、"ずっと暇やからええねん"ってゲラゲラ笑うスタンプが返ってきた。



バイトはやってるものの、休憩中に私の返信をしてるため、案外既読は早かったり。

それほど暇なのかな？なんて思いながら、私も気づいた時に返信するけど。







"『3限目からです。小瀧さんは？』"






特に顔文字も絵文字も、スタンプも使わない私。

可愛げ、というものの欠片もない。



トークを見直して、つくづく私は女子なのか？っと疑ってしまう。




それに対して小瀧さんは、スタンプやらいろいろ付けて送ってくるところ、可愛い。

女子より女子だ。







"「俺は2限目から」"

"「また会えるとええなあ」"






不意にくる私にとっては爆弾も、朝は結構弱い。

10.利用→←8.小瀧さんの前では。

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