引き立て役の私だって主人公になりたいとか思ったけど夏終わるし諦めよう。

27.半年 ページ27

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あれから半年が経った。


小瀧さんを忘れるかのように私は、智洋と晴れて付き合い、同棲も始めた。

智洋は本格的な就職活動に入って、もう内定取れそうだとか。



智洋曰く、"早く結婚したい"って言うけれど、私はそんなに焦らなくてもいいと思ってる。

だって智洋から離れるなんて、ないと思うから。





私はもちろん、大学卒業後はちゃんと就職するつもりだけど、結婚したら……智洋のために、とか思っちゃったり。

専業主婦も悪くないしね。






「じゃあ、また授業終わったら連絡してな」


『うん！智洋、頑張ってね』


「Aもな。授業、寝んといてや？」


『寝ないように頑張る』






智洋とふたてにわかれたあとは午後まで会えない。

お互い色々な付き合いはあるし、そのへんは恋人っていうものに縛られないため。


でも、本当に会いたい時は会うけどね。





これ終わればまた会える……そう思って、手に持ってた鞄をぎゅっと握ると、あいていたもう片方の手が掴まれる。

何かと思って振り向けば、肩で大きく息をしている小瀧さんがそこにいた。







『は、っ、なん、で』


「大事な話があんねん。今から、ええかな……てか、来て」






教室に向かってるはずが、逆方向に進み出す小瀧さん。

久しぶりに会った小瀧さんの服装の系統はガラリと変わってて、時が過ぎたと改めて感じた。



半年ぶりに会った、と言っても、同じ大学なんだからすれ違ったりは時々してて。

たまに授業が一緒の時は、近くに小瀧さんがいたし、絶対目に入ってなかった……というわけではない。




でも、こうやって話しかけられるのも

こうやって触れられたのも

半年ぶりなんだな、って思うと複雑で。





なんで今頃？ってごちゃごちゃになる頭のまま、着いたのは大学のシンボルでもある大きな木の下だった。

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