44.変なの ページ44
＊
だんだんと人が少なくなっていったと思えば、屋上についていた。
古びたドアを開ければ、もう寒いぐらいで。
黒髪くんが"こっちきて"と手招きする方向へ行くと、黒髪くんの隣を指さした。
「座って」
前まではこんなこと、ありえなかったのに。
やっぱり、あの子のおかげなのかな。
嬉しいようで、でも悲しい方が勝っていて。
妙な気持ちに、モヤモヤが募るだけだった。
「何で、避けるん」
少しの沈黙の後、口を開いたのは黒髪くん。
さすがに顔は見れないのか、私がいる方向とは逆方向を見てそう呟く。
『……いっ、言えない』
「何で……理由わからず避けられるなんて、なんか嫌や」
『私の方が嫌だよ、っ、苦手だから、って……避けられてたの、』
「それは……ごめん」
また流れる沈黙。
ああ、やっぱり。
素直になれる自信が無いから、会いたくなかったの。
あの女の子誰、って、思わず聞いてしまいそうになるから。
「あのさ、」
『……うん』
「独り言やから、無視してもええけど」
『……』
「瀬良さんに避けられて、寂しかった」
『……っ！』
「いつもは来るのに、何でやろって頭でいっぱい考えて、でも心当たりなくて。理由もわからず避けられるん、凄く、こう、寂しかった」
"話したいって強く思ったし、こうして話せてるの凄く嬉しい"って、伝えてくれる黒髪くん。
独り言、無視して、そう言われても、こんな言葉無視できるはずない。
ドキドキって心臓がうるさくて、嬉しくて、モヤモヤとかとは違う苦しさがある。
あれを見た時から、何でこんなに、おかしいの。
『……黒髪くんは、』
「……うん？」
『女の子苦手なはずなのに、何で私と今話せてるの……？私の腕触ってたし、何で……？』
「なんで、って」
『見ちゃったの、っ、シンデレラ役の子、仲良さそうに話してるの……っ、その子の、おかげで今こうして話せてるのかなって、そう思うと、苦しいよ、っ、』
"私の時は、無理だったのに"
ポロリとこぼれた本音は、ちゃんと相手に伝わってしまって。
一瞬驚いた黒髪くんは、表情を崩して、ふわりと笑った。
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ぽてとふらい。(プロフ) - ちぃのすけさん» コメントありがとうございます！1番…！その言葉だけでもう本当に嬉しいです…！これからも沢山お話を届けられるよう、めっちゃ頑張ります！次回作もよろしくお願いします！ (2019年8月26日 22時) (
レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - 凜憧さん» ありがとうー！なんかこれ書く前にこんな感じの実際にあって…笑 書きたくなって書いちゃった。凜憧も大変な時期に入るだろうけど、無理しないでね。慌てなくても大丈夫だから。私も二学期から本気出すぞーっ！笑 (2019年8月26日 22時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
ちぃのすけ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!自分が今まで見たお話の中で一番大好きなお話でした。最後の重岡くんにめちゃめちゃキュンキュンしつつ、にやけを隠すのに必死でした(笑) こんなめちゃめちゃ素敵なお話に出会えて本当に良かったです。次回の新作楽しみにしてます！ (2019年8月26日 19時) (レス) id: d270165aa7 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 完結おめでとう！いつも以上に最後の言葉がグッときて、今、前向きになろうって少しずつ状況を変えてるときだったから余計に響いて、なんかもう泣きそうになった。毎回のようにぽてには元気をもらってるし、勇気をもらってる。すごいなって改めて思った。更新お疲れ様！ (2019年8月26日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - しげつぐ。さん» そう？なんか、伝えたいことたくさんでごちゃごちゃになってしまったけど…ちゃんと私の言葉、届いてたのならよかった。うん！新作もまた頑張るね！ (2019年8月26日 1時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽてとふらい。
| 作成日時：2019年8月7日 10時
