ストロベリーの香りが重岡くんだと知ったら、推しになった。

40.今は苦い ページ40

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小瀧の告白から、2週間。

文化祭まであと1週間、ってところまで来た。



相変わらず小瀧はサボったり、頼まれたら手伝うぐらいだけど、

私はまだあちこちと走り回っていた。




理由は主に、料理。

可愛いのを出したい！と女子の意見があがったはいいものの、作れる人が多くはなくて。


作れる人を数えてみたら、私含めて6人。

男子は誰一人として何も作れないらしく、女子6人で調理を任された。





あと1週間なのに、料理が全然決まんなくて。

色々作りながら、これは違う、あれは違う、と頑張っていたら材料がなくて急いで買いに行ったり……。




完成した料理はみんなに食べてもらい、全員の了承を得て、改めてメニューに加わる。

料理名は、1番ネーミングセンスの良いクラスの女子に決めてもらい……、と、そんな流れがあった。






「お、忙しそうやね！」






やっほ〜っと1組を覗きに来たのは、キラキラと目立つ流星くん。

あ、っと手を振り返そうとした時、流星くんの後ろに見覚えのある黒い髪の毛。


ひょこっと出した顔は、もちろん黒髪くんで。


振ろうとした手は引っ込み、無意識に近くにいた小瀧の背中に隠れた。






「って、あれ？瀬良ちゃん？」


『……やっ、やっほ〜』


「しげやで？ほら、」






ほらって言って差し出された黒髪くん。

黒髪くんはほんのり耳を赤くさせながら慌てて、もう一度流星くんの後ろに隠れようとするけど、背中を押されて前へ。






『あ〜……や、っほ〜、黒髪くん、』


「どうしたん？いつもみたいにグイグイ行かないやん」


『あ、うっ、うん』






背中のワイシャツをきゅっと掴んで、気まづさ全開。

本当は黒髪くんの前でいつも通りしたいのに、しなきゃしなきゃって思えば思うほどあれを思い出して。



いつも通り、接せないっていうか。

接し方を、忘れてしまった。






『……ごめん、他のところも行かなきゃだから、その、ばいばい』






この空気に耐えきれなくて、黒髪くんの横を通る。

ふわりと香ったストロベリーの匂いは、少し苦く感じた。

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