キスの日。

10.diary ( F . side ) ページ10

＊




「これでよかったん？」






下駄箱の隅から2人を見つめる俺。

その後ろから来た神ちゃん。


神ちゃんは悲しそうにそう言うけど、俺はどこか吹っ切れた気持ちでいた。

前より、気分が、軽いというか。






『ええんよ、これで』






この気持ちに、終止符を打てた。

ずっと先延ばしにしてた、彼女への気持ち。


だから、これでええ。

否定されたあの瞬間、どこか安心したから。





彼女には、ほんまに好きな人と、幸せになってほしい。






「奪うこと、できたんちゃう？」


『悪い考えするんやな、神ちゃんも』


「やって、流星、普通にイケメンやし行けると思うけど」


『……生憎、そういうタイプちゃうねん』






ごめんな、神ちゃん。

そう謝れば、何で謝んねんって叩かれる。






『相手が幸せなら、俺も幸せなんよ』

『相手が悲しいなら、俺も悲しい』

『そういうもんちゃうの？片想いって』






わからんけど。

関西特有の身勝手がでる。


神ちゃんは笑いながらため息をついて、俺の肩に手を置く。






「ゲームする？」


『する、神ちゃん好き』


「きもいきもい、やめてや？」






A、俺の我儘に付き合ってくれてありがとう。

大好きやったで。





＊END＊

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