キスの日。

4.diary ページ4

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教室に入れば、既についてた大毅が

"英語！"と自分の机に課題を広げて待っていた。


いや、それ置くなら自分でやりなよ。

とは言いたいものの、嬉しいから黙って隣に座る。






「えへへ」


『……なに、大毅』


「幸せやなあって」


『……なにそれ』






嬉しい。素直に、嬉しい。

それなのに喉が震えて出てくる言葉は反対の言葉。


"意味わかんない"、って。




それでも大毅は笑ってた。

"ええ、わからへん？"って、太陽のように。







『……知らない』


「ふふ、いつかわからせたる」


『気持ち悪い』


「なんでや」






はい、っと課題を手渡すと、嬉しそうにニコニコ笑う。

優しく紙を受け取った大毅は、急ぐことなく私を見て、課題のプリントを机に置いた。







『写さないの？』


「んー、写す気分やなくなった」






ああ、そうだ。大毅は強度の気分屋だった。

こうなると私が写したり、巻き添え食らう流星が写したりなど様々。


たまに廊下を通った神山くんも写したり、そんな日もあったっけ。






『写してあげようか？』






私なりの優しさ。

これぐらいはサラッと言えるから、何となく平気な顔して聞いてみる。


大毅は首をふりふりと横に振り、"そういうことちゃう〜"って口を膨らませる。可愛い。







「唐突に、キスしたくなった…」


『はっ！？』






可愛いと思った矢先、爆弾投下。

平気で言える大毅も大毅。こういう時に限ってシャイが出ないところ、確信犯。



"なあ、キスしようやあ"ってどストレートに伝えてきて、みんな聞いてるのに、恥ずかしい。

静かに大毅の顔面を手で覆い、"今顔見ないで"って指示。






「うげ、なんで」


『何でもいいでしょ、見ないでって。目瞑って』


「照れてるん？ならみたい」


『絶対見せない』






何もかもな唐突の大毅の性格には、散々振り回されてきた。

強度の気分屋が彼氏なら、それも最近慣れ始める。


それと同時に、いつ投げられるかわからない大毅の爆弾発言にも、クラスのみんな、ガン無視だ。ありがたい。






「ちゅーしようやああ」


『ちょっと黙って廊下聞こえる』

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