35.神山さんの気持ち ページ35
*
くしゃくしゃと髪の毛を掻くと、"なぁ神ちゃん"っとソファで背もたれのほうに顔を向かせている神山さんに話しかける。
「このままやと、ほんまに俺、奪うで?」
「……」
「寝たふりせんで、奪われへんようにしといたらどうなん」
「……」
「はぁあ、神ちゃんも素直になりや?ちゃんと、この関係以上になりたいって言いや?」
藤井さんの言ってる意味がわからない。
けど、なんだか、
藤井さんが泣きそうだってことだけ、わかる。
藤井さんは私の方へ戻ってくると、ぽんぽん、っと2回頭を撫でた。
え?っと反応する前に、藤井さんは、切なそうににこっと笑うと
「これで最後。……大好きやで、Aさん」
少しずつ顔が近づいてきて、咄嗟に目を瞑ると、おでこにちゅっとキスを落とされる。
驚いてゆっくり目を開けると、"んじゃ、"っと今度はイタズラっぽく笑うと、そのままドアを引いて行ってしまった。
部屋に残った私と神山さん。
神山さんは本当に寝てるのか、びくりとも動かない。
しん、っと静まったこの空気が、痛い。
『あ、の……』
振り絞った声はカスカスで、恥ずかしくなる。
何度か咳をして、整えた後、今度は名前を呼んだ。
「……」
『神山さん……?この関係以上って、どういう意味ですか?』
ずっと引っかかる言葉。
"この関係以上"……なんて、どうするつもりだろうか。
少し間があいたあと、神山さんは、むくりと起き上がって私を見た。
"なぁ瀬良"
もう私の下の名前では呼んでくれないことに、いつから嫌だと思うようになったんだろう。
下の名前で呼んでほしい。
……そう、思ってるのに、言えない。
『はい、なんでしょうっ、……!?』
ずんずんっと私の方へ近寄り、ぱっと押されてすぐ後ろにあった椅子に座る。
腕を掴まれて、神山さんのおでこが私のおでこと、コツンっとくっついて。
目の前にある神山さんの顔に、直視できないせいか、必死に目を逸らす。
「目、逸らさんといて」
そう言われると、唇に感触。
何かと思って前を見ると、にやっと笑った神山さんが"やっと向いた"っともう一度唇が繋がる。
『な、に……して、』
「……好きや」
『へ……?』
「好きや、瀬良のこと、大好きやねん」
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ぽてとふらい。(プロフ) - しげつぐ。さん» ありがとう!!うーん、私もそんな感じ 笑 仲いい子以外は苦手だし…笑 まぁ人それぞれだから、大丈夫。 (2019年6月29日 23時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
流智LOVE - ありがとうございます。自分の言葉で助けてみようと思います!ぽてとふらい。さん本当にありがとうございます! (2019年6月29日 15時) (レス) id: db4b56f1e4 (このIDを非表示/違反報告)
しげつぐ。 - ただの人見知りかもしれんけど笑でも、中学まだ行ったことないから気持ちが分からんけど、、、更新お疲れ様!新作も楽しみにしとるよ! (2019年6月28日 15時) (レス) id: de4b714db2 (このIDを非表示/違反報告)
しげつぐ。 - 完結おめでとう!!最後のあとがきやっぱいい言葉やなって思った。本間に。陰キャやけど、ちょっと他の人と違うと思う。確かにめっちゃ喋らんし、静かやけどそれなりに友達おるし、それなりに話かけられるけど、自分から話しかけたりせえへんから。続き↑ (2019年6月28日 15時) (レス) id: de4b714db2 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - れんさん» コメントありがとうございます!応援もありがとうございます!!まだまだ私らしい言葉を届けられるよう、頑張りますね! (2019年6月27日 23時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてとふらい。 | 作成日時:2019年5月13日 22時