生徒会長の神山くんを、こっそり観察したいJKの話。

30.男装と団結力 ページ30

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神山くんから貰った飴の袋を、未だ大事に取っておいてるのは流石に気持ち悪いだろうか。






「瀬良ちゃん、男装似合うと思うねんけどな……」


『え……あ、……』


「男装やりたがる女子もあんまりおらへんし……
頼む！私ら、いいや、クラスのためやと思って！」


『あ、の……私は……裏方、を……』







そんな飴の袋ひとつ大事にしている
気持ち悪いJKこそ、そう私、瀬良Aである。



そんな私は今

男装をクラスの女子全員に頼まれている。







「瀬良ちゃん可愛ええし、男装したらかっこええし
人気間違いなしやと思うねん！」


「男らもそう思うよなあ！！」


「せやで〜！世界でいっちゃん似合っとるわ！」


『……あ、はは……』






なぜこんな状況になってしまったかと言えば
遡ることほんの10分前。




男子は人数分、女装してくれる人がいたらしいが
女子は最初5人しか立候補がいなくて


文化祭実行委員が一生懸命に男装似合う人を説得し
何とかあと1人いれば、って所で



私が、なぜか前の席の女の子に売られまして。




"瀬良ちゃんがええと思う〜"なんて
軽々しく言ったものだから


文化祭実行委員の目が私に向いて、

光の速さで私を男に仕立てあげた始末。





するとあら不思議。

全力で私を男装させるために
クラス全員で説得される羽目になったのだった。





もちろん私は裏方希望でちゃんと手を上げました。







「なっ？頼む、この通りやって！」


「瀬良ちゃんしかおらんねん！」


「うちらを助けてほしい！！」







こんな状況、断れるはずもなく







『……わ、かりました……』







私を売ってくれたあの子は許さないけど
ひとつの経験として……まぁ、本当に嫌なんだけど






「え、まじ！？ありがとう！！」


「瀬良ちゃん神やわ〜！！」


「なんか欲しいものある？なんでも買うたる！」


『い、いや、その……』


「コーンポタージュやって！ほら男ども！
自動販売機まで走ってこい！」


『あの、別にコーンポタージュ好きじゃ……』


「承知しやした姐さん！！」


『あ、姐さん……？』






このクラスの団結力と、謎のノリの良さ

いつの間にここまで成長していたのかと驚くほど
私の小さい声は、全く通らなかった。

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