episode150● ページ16
’
｢そんな……酷いよ、マーくん｣
俺の言葉を聞いた絹は、意外にもいつものように取り乱しはしなかった
震えながら静かに、淡々と大粒の涙を流しているだけで、泣き叫んだりカッターを取り出したりはしない
ただ、今までない位に、ほんと怖いくらいに落ち着いているように見える
落ち着いているって言うよりかはもう、泣きわめく気力や、そもそもの感情がなくなったに近いような……
医者もおかしいと思ったのか、話の路線を変えて今度は絹の過去について問い始めた
虐待について核心をつくんでなく、お母さんと上手くいってるかとか、家ではどんな感じだとか。
｢お母さんは……最近はもう滅多に怒りません。でもたまにすごく怒ります…｣
｢それはどんな時かな？｣
｢お母さんを1人にしないでって、泣き叫びます……｣
｢じゃあ今度、お母さんとも一緒に来てみようか｣
｢はい｣
他にも
｢君はどうして佐野君をそこまで必要とするのかな？｣
｢それは……マーくんだけが、私の事を助けてくれたから……私には、マーくんしかいないから｣
｢じゃあ君は、佐野君のことを大切に思ってるんだね？｣
｢はい。この世界の何よりも｣
｢そうか。でも今、その想いが少し強くなっちゃって、悪い方向に行ってしまってるんだよね。他の人にも向いてしまってる。それはダメなことだって、分かる？｣
｢……頭では、分かってるんです｣
｢分かってるんなら、君はちゃんと優しい子だね。きちんと周りのことも考えられてるんだよ。
恋とは一見素敵なものに見えて実は恐ろしいものなんだ。知らないうちに自分を変えてしまうからね。
でも君は大丈夫。まだその恐ろしさに呑まれてないよ。ちゃんと自分が良くないことをしたって分かってる。
だから、これからどうすればいいかも分かるよね？｣
｢……っはい……
もう、マーくんを縛り付けたらいけない……｣
｢そうだね。よく言えたね。君は優しい子だ｣
｢ありがとうございます……っ、もう、悪いことしません…｣
絹は医者からの質問に全て答えて、
｢じゃあ、今日はこれで終わりにしましょうか｣
｢はい。ありがとうございました｣
ちゃんとお礼も言って
｢マーくん……今までありがとう……私、もう変わるから｣
ついに、変わった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7927人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
歴女 - みんなが幸せになれる、ハッピーエンドだといいいです！ (2022年12月10日 2時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 久しぶりの更新めっちゃ嬉しいです！通知きた瞬間叫びました笑更新してくださるだけでもう神です…！データ消えるのきついですよね。。本当に大好きな作品です！応援してます！ツナさんのペースで更新頑張って下さい！ (2022年11月5日 19時) (レス) @page45 id: 70628fcb09 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいとこ - さすが最高一位。格が違いますね←上から目線過ぎ しかしほっんとーに好きです、このお話。 (2022年11月2日 18時) (レス) @page44 id: e4df59fc58 (このIDを非表示/違反報告)
詩 - 一気読みしてまじ止まらんかったです、この作品本当に好きですっ！応援しています！！ (2022年6月14日 19時) (レス) @page44 id: bb966ca157 (このIDを非表示/違反報告)
亜美(プロフ) - うわぁ、、。だいすきすぎる……。もう更新は、、多分しないか。続きは頑張って私が妄想したおします笑！！本当に本ｯｯｯ当に面白かった！！こんな面白い作品を、ありがとうございました＜(_ _)＞ (2022年6月3日 20時) (レス) id: b476552735 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ
| 作成日時：2021年12月3日 21時
