彼との幸せな未来 ページ45
’
「よかったな……順調っぽくて」
『ね。安心した』
緊張が解けたように息を吐く豹馬。
私よりも心配してくれたのが何だか嬉しくて、繋いでいる手を大きく前後に揺らせば、「何してんだよ」と隣から喜色の含んだ声が聞こえた。
「早く会いてぇな……」
お腹を見つめるときの豹馬の目があまりにも優しくて、見慣れてるはずなのに不意に胸を打たれる。
『男の子だったら、やっぱりサッカーやらせるの?』
「うーん、もちろん一緒に出来たら楽しいだろうなとは思ってるけど……一番は、こいつのやりたいと思うことをやらせてあげたいな」
『……ほぇ〜』
キュン。なんちゃって。
「逆に女の子でも、サッカーやりたいって言ったら全力で教える」
『豹馬の娘なら言い出しそう』
「ふ、確かに」
幸せな未来を頭で描いては、心がじんわりと温かくなる。
男の子でも女の子でも、その子に生まれてよかったと思って貰えるような人生を送らせてあげたいな
『娘と言えばさ、もし豹馬に似たら、モテまくって代わる代わる彼氏連れてくるかもね』
「……マジでやめて」
『あは、冗談だよ』
本気で落ち込んでしまった夫をからかいながら慰める。
でも十分ありえることだったりして……。っと、これ以上は言わないでおいてあげよう。
他にも他愛のない話をしながら歩いていたら、豹馬が思いついたようにあ、と声を上げた。
「そういや、また甚八さんから荷物届いた」
『え、またぁ?もういらないって言ってるのに……』
そうなのだ。ここの所、叔父さんからベビー服やらおもちゃやらが大量に送られてくる。しかも服は全部ブランド物で、ご丁寧に名前まで刺繍されている。
大学時代も十分過ぎるほど仕送りしてもらったし、もう何も不自由してないのに……。
これが、噂で聞く親バカというやつなのだろうか。
2590人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ブルーロック」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ごりらに憧れてます - ちょっと控えめに言って神です。語彙力めちゃ高ですし……小説家なれると思います。応援してます!!最高でした〜 (1月19日 7時) (レス) @page43 id: 930e13de40 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - 話の構成が上手すぎて引き込まれました…!神作品を有難う御座います! (10月10日 13時) (レス) @page22 id: 96c5df6fb7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨、ときどき猫。 - 私、最後の「彼との幸せな〜」を呼んだ瞬間、大泣きしました。枕に顔うずめてたら親に笑われました(笑)本当に心が温かくなる話でした!これからも投稿頑張ってくださいね! (6月5日 21時) (レス) @page49 id: 5c49e2991a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - すっごい泣きまた!本当に素晴らしい作品をありがとうございます! (5月21日 0時) (レス) @page49 id: e67944ae95 (このIDを非表示/違反報告)
ヒラコ - 素敵なお話をありがとうございました。ツナさんの暖かい気持ちに感動しました。生きることは決して楽しいこと、美しいことばかりではないけれども、それらはいつか糧となり実を結ぶのだと思います。私もいつか生きていて良かったと思える日が来るよう今を生きます。 (2023年4月2日 2時) (レス) @page49 id: 488b484064 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ツナ | 作成日時:2023年1月28日 16時