明日 ページ42
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「久しぶりに顔見せたと思ったら……もう帰るのか?」
『うん、明日も早いからね』
「……男でも連れ込んでんのか?」
『なっ、そんなわけないでしょ……!』
「どーだか……。まぁいい、またすぐ来いよ」
『うん…!じゃあ行ってきます』
ブルーロックが終わってから数ヶ月後。ただの女子高生となった私は、絵心さんの元で慌ただしくも明るい新生活を送っていた。
転校先の人達はみんな優しくて、学校が大嫌いだった私でも初めて卒業式で涙を流すくらいすごく楽しかった。
そして現在大学へ進路を決めた私は「まだ居ていいんだぞ」とごねる絵心さんを離れ、彼が選んでくれたやや古めだが安全性の高いマンションで一人暮らしをしている。
相変わらず仕送りは多くて、余裕で貯金に回せてしまう位だからもっと減らしていいのにと思いつつ受け取ってしまう。
「おーい!こっちこっち!」
「ナイッシュー!」
通りかかった公園などでサッカーしてる子達をみると、今でも思い出す。
あのブルーロックでの日々を。
あれからもう、2年が経ったんだ……。
辛いことも色々あったけど、それ以上にあそこでの毎日は温かかった。
ちゃんと自分から心を開けば、人と向き合えると学べた。
沢山の思いやりに触れて、今まで目を逸らしたくなるような人生だったのが、初めて色付いた瞬間だった。
「おねーさーん!ボールとってー!」
『……あ、私?』
だれも、私の事なんか見てくれてないと思ってた。
でも違った。自分が見ようとしなかっただけで、みんなちゃんと見ててくれたんだよね。
『えっと……えいっ』
「わわっ!どこ蹴ってるの〜!」
『あ、ごめん……!』
人生は、素晴らしい
素晴らしくて温かい
死にたくなるような挫折があっても、誰かが自分を見て応援してくれている。
「……下手くそ」
『…うるさい。5分遅れたくせに』
「これ並んでた。前食べたいって言ってたから」
それに気がつけたのは、あの場所であなたと出会えたから。
『わ、ほんとだ…!』
ありがとう
わたしを、見ていてくれたあなたへ。
【〜完〜】
だれも見てくれなくても【ブルーロック】
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ごりらに憧れてます - ちょっと控えめに言って神です。語彙力めちゃ高ですし……小説家なれると思います。応援してます!!最高でした〜 (1月19日 7時) (レス) @page43 id: 930e13de40 (このIDを非表示/違反報告)
黎明(プロフ) - 話の構成が上手すぎて引き込まれました…!神作品を有難う御座います! (10月10日 13時) (レス) @page22 id: 96c5df6fb7 (このIDを非表示/違反報告)
時雨、ときどき猫。 - 私、最後の「彼との幸せな〜」を呼んだ瞬間、大泣きしました。枕に顔うずめてたら親に笑われました(笑)本当に心が温かくなる話でした!これからも投稿頑張ってくださいね! (6月5日 21時) (レス) @page49 id: 5c49e2991a (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - すっごい泣きまた!本当に素晴らしい作品をありがとうございます! (5月21日 0時) (レス) @page49 id: e67944ae95 (このIDを非表示/違反報告)
ヒラコ - 素敵なお話をありがとうございました。ツナさんの暖かい気持ちに感動しました。生きることは決して楽しいこと、美しいことばかりではないけれども、それらはいつか糧となり実を結ぶのだと思います。私もいつか生きていて良かったと思える日が来るよう今を生きます。 (2023年4月2日 2時) (レス) @page49 id: 488b484064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2023年1月28日 16時