私には無関心だったのに【五条悟】

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あ、避けられてる




香水だけじゃない。話し方も笑顔も色んなことが遠ざかっていった。



まぁ避けられてるとは言っても、本人でさえ無意識のうちみたいな、多分周りでわかった人はいないような程度。

でも実家でいつも母親の顔色を伺っていた私はそれを感じることができてしまって。





けどそれでいいと思った。

私のせいで先輩が周りから責められるようなことがあったら、それこそ私は自分を許せなくなる。


だから私は無知なフリをしていつも通り先輩に抱きついていた。
目が合うと悲しそうに細められる瞳に、痛む胸を誤魔化しながら。







多分私がなにかしちゃったからこうなってるんだと思うんだけど、馬鹿な私には理由が分からなかった。



ただその頃は夏油先輩がいなくなって、悟くんが今までにないくらい荒れて……

いつもそれを止めていたA先輩もその時はおかしくなってしまって、硝子先輩も七海くんも、みんな正常でいようとしてるんだけどいられないような状態だった。



だから悟くんを宥められる状況に居たのが私しかいなくて……

もしかしたらそれが原因かもしれない。






高専に入って少し経って、悟くんとA先輩がみんなの言う“いい感じ“になった辺りから、自然と悟くんと接する機会は減っていった。



その時には私も、七海くんと灰原くんという初めてできた同級生にそれはそれは舞い上がってて、悟くんも自分以外に心を許せる人間ができたって安心してたんだと思う。




だから久しぶりに悟くんと…それも超やさぐれてる時のとちゃんと話した時、見たことない冷たさというか…少なくとも私の前では見せたことの無い悟くんの本性みたいなものに、すごく戸惑った。


同時に分かりもした。

私じゃこれを止められないんだって。

悟くんを救えるのはA先輩しかいない。



でもそんな先輩もすっかり生気がなくなって……




このままだと悟くんも壊れちゃうし、私しかいなかった。



それから毎日悟くんの近くに居て、邪魔に扱われても懲りずに話しかけて……




そうしたらやっと、A先輩の5分の1位は心を開いてくれた。


私に対する言葉遣いとか態度も少し雑になったし、素を見せてくれてるんだって素直に嬉しくも思った。






でもそれがダメだったんだと思う。




私が出しゃばりすぎたから、二人の仲が悪くなってしまった。

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