episode98● ページ8
’
落ちていたベルトコンベアに登り、窓ガラスをぶち破ってAの服を脱がそうとしていた男を
｢死ね｣
蹴って殴って、蹴って蹴って蹴りまくれば
段々と伸びていくデケェ体。
3回蹴った辺りでそいつは動かなくなったけど、俺の体は止まらなかった
こいつの息を絶やすまでは……絶対ぇ止めねぇ
今思えばこの時の俺は、一虎を殴ってた時みてぇな、Aを押し倒した時のような、黒い何かに支配されていたと思う
誰にも止められないと思ってた
俺にさえ、止め方がわかんなかったんだから。
しかし意外にも、その黒い何かを止めたのはAの声だった
｢早く殺して！そいつのこと殺して……！｣
｢A……っ？！｣
悪夢のような言葉に、自分の体が動かなくなる
今、なんつった……？
てっきり俺を止めようとしてるのかと思ってたら
｢殺しちゃってよ……佐野！｣
｢A！！おま、どうしたんだよ……！｣
こんなAの姿を見るのは初めてだった
普段優しくて強くて綺麗なAが、人を殺せと泣き叫ぶ姿
一体誰が想像出来ただろうか。
Aが壊れてしまったその姿は、我を忘れていた俺の目を覚まさせるには十分で。
十分すぎてもはやショックでどうにかなりそうだった
｢離して！佐野がやらないなら私がやるから！｣
｢A…！｣
本当にこいつの顔を蹴ろうとしたAを、後ろから引き止めるようにして抱きしめる
けれどAは収まらず、何度も殺せや殺してと泣き叫んでいた
とにかくこのままじゃやべぇ
こんな状態で家には返せねぇし……確か前にAが、うちの親厳しいんだよねとか言ってこまめに連絡してたよな
｢悪ぃA｣
俺はAのポケットをまさぐったがケータイは入っておらず、まさかかと思って男のポケットに手を突っ込んだら、Aのケータイとあと避妊具が入っていた
怒りでまたこいつをぶち殺したくなったけど、未だ叫んでいるAを見たらそんなことしてらんなくて。
俺は連絡先の中からお母さんと書かれたボタンを押し、Aを抑えていない方の手で、"今日は友達の家に泊まるね。連絡遅くなってごめんなさい。"とAが打ちそうな優しい文体を考えて送信ボタンを押した
Aのこんな姿、エマには見せらんねぇ……
落ち着くまで、どっか外にいるしかねぇか
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7281人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kanasimi - マジで泣けました！ 3回も!! 感動しました！ (2022年12月10日 2時) (
レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
桃菜 - 続き楽しみにしてます♪ (2022年4月19日 7時) (レス) @page45 id: 99859047d6 (このIDを非表示/違反報告)
たむら - 更新ありがとうございます！！今回もいいところで終わって...次回が気になりすぎますっ！！主さんのペースで更新していただけたら幸いです🙇♀️ (2021年12月2日 20時) (レス) id: e5799c3cbd (このIDを非表示/違反報告)
南(プロフ) - 更新ありがとうございますっ！！！気になる所で終わってるのも流石です。次回更新楽しみにしていますね(*^^*) (2021年12月2日 20時) (レス) id: db1b503228 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ(プロフ) - コウさん» めっちゃ好きです！！笑 (2021年12月2日 8時) (レス) id: 4b3554dc38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ツナ
| 作成日時：2021年9月30日 23時
