第三十五話 ページ37
「本当に1人で大丈夫なの?」
『うん、心配しないでも大丈夫だから』
あの後、柱には本部に来るように招集がかかった。私を気にするむいくんをなんとか送り出す。
『あー…喉痛い…』
叫び過ぎた。瞼も泣きすぎたせいで重たく感じる。
『今度こそ本当に離れないといけないのかな…』
勝手に離れないようにしようと思ったけど。でも……今回は思った以上に心にきた。
離れるといっても、元の世界に帰れる訳ではない。
何かあるかは分からないが…もう1度行ってみようか。
あの場所。この世界に来て1番最初にいた場所へ。
**
実はこっそり調べていた。最初にいたあの場所を。私がこの世界にトリップした手掛かりが何かあるかもしれないから。いつか来ようと思っていた。
森の中に来て、ほんの少し後悔する。屋敷を出た時間が遅かったせいで、辺りはすでに暗くなっていた。明日にした方が良かったかもしれない。
『ここ…かな…』
消えかけている記憶をなんとか手繰り寄せて、目的地に着く。
辺りを見回しても、木や草しかない。何か変わったものもおかしな所もない。やっぱり、此処には何もないのか。
…むいくんは…どうしてるかな。きっとすごく怒っているだろう。今から戻るのも怖いなぁ。
引き返そうと思った時、背後から異様な気配を感じた。
ブワッと嫌な汗がふき出た。背後を振り返っていないのに、恐怖で全身が震えている。
意を決してゆっくりと振り向いた先。
息をするのも忘れそうな美しい容姿をした人がそこにいた。
普通ならきっと、縁のない人。だけど私は、その人を知っている。
『鬼無辻無惨…』
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uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時