第二十四話 ページ26
あれから、しのぶさんの許可も得て蝶屋敷に行ける事になった。しのぶさんにとって私はまだ得体の知れない人間だろうに、快諾してくれたことがありがたくて、なんだか申し訳ない。
そして、むいくんとはあの告白をしてから話していない。私がむいくんを避けているから当たり前なのだが。
…彼はどう思っただろうか。あんな酷い告白。もしかすると告白だと分かっていないかもしれない。
『…そうだといいな』
言うつもりなんてなかった。答えなんて分かり切っている。だったらいっそ、その方がいい。
…矛盾してる。自己中なのも自覚してるよ。
悶々と考えていると、いつの間にか蝶屋敷に着いていた。小さい声で、お邪魔しますと呟き中に入る。
さて、炭治郎達は何処にいるだろうか。機能回復訓練が既に始まっていたら、部屋の中ではないだろうし。
辺りを見回していると、あの…と後ろから声を掛けられた。
「貴方が高梨Aさん…ですね?」
『あおっ……はい、そうです!』
思わず名前を言いそうになり、なんとか堪える。
「私はアオイです。此方へ、案内します」
知ってますぅー!可愛いなアオイちゃんも!
内心で悶えながら、私は頷いてアオイちゃんの後を追う。
案内されたのは屋敷の中。という事は、まだ訓練は始まっていないのか。
『…こんにちは〜』
恐る恐る部屋の中に入れば、3人の少年が此方を向く。
「……誰だ…?」
「あ…君…」
『2度目まして…だね、炭治郎』
「ちょっ…ちょっと待った!」
見つめ合う私達を遮る声。
「何…?え…?2人は知り合いなの?」
その声の主、善逸は戸惑った様子で私達を交互に見る。
「…知り合い……どうなんだろう…?」
『言い辛いね…』
顔を見合わせて苦笑いする私達に、善逸は歯をギリィッと鳴らす。
「何だよそれ!!クソォ炭治郎!!お前こんな可愛い子と知り合いだったなんて!!」
凄い剣幕で炭治郎に詰め寄る善逸。…怪我は大丈夫なのだろうか。
…ああ、でも。
炭治郎に善逸に伊之助。あの3人だ。
私は、嬉しくて緩む頬を見られないように隠した。
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uru(プロフ) - 愛NAさん» ありがとうございます!自分ではまだまだと思っているのですが、そう言って下さり嬉しいです!!これからも頑張ります! (2020年8月18日 19時) (レス) id: 275269a074 (このIDを非表示/違反報告)
愛NA(プロフ) - 小説の書き方上手過ぎませんか…??ちょっとシリアスだったり面白かったり、何かもう色々と凄って思いました。陰ながら応援させて頂きますね…! (2020年8月18日 18時) (レス) id: d66500f3cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憂流 | 作成日時:2020年8月2日 15時