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第5話 : 喧嘩 ページ9

貴方side





あの日から、私はますます屋上へ足を運ぶようになった。

授業もほったらかして、先生の注意も聞かずに。

いつの間にか私の1日の楽しみは、屋上で神代くんと会うことになっていた。





そんなある日、私が屋上に行くと、いつものように神代くんがいた。

いつもと違ったのは、私を見る目が珍しく真剣だったということ。







類「Aくん、もうここに来るのはやめたらどうだい?」







頭の中が真っ白になった。

神代くん、今なんて言った?







『なんで突然…』


類「最近は授業もサボり続けているだろう?このままでは君のためにならないよ」


『それは…でも、私はここに来たくて』


類「どうしてここに来たいんだい?」







何コレ。

私尋問でもされてるの?

そんなの、分かってるくせに、言わせないでよ。







『か、神代くんがいるから……初めてできた友達だし…』







もう、恥ずかしすぎる。

まさか自分でバラすことになるとは。今まで友達いなかったこと。







類「なるほど、僕は友達だと思われていたんだね」


『え…』







なんで、そんなに呆れた表情を…。







類「僕は君のことを友達だと思ったことは無いよ。
屋上に来るのが僕に会いに来るためなら、僕もここに来るのはやめるよ」


『何それ』







何それ。

友達と思われてなかったことは悲しいけど、まだそれだけなら納得出来た。

でも、







『言い方ってもんがあるでしょ!』


類「僕は事実を言っただけだよ」


『っ!!』







怒りやら、悔しさやら、悲しさやら。

色んな感情が胸からせり上がってきたが、言葉にできず喉に詰まった。

涙が溢れ出そうになったが、必死に堪えた。

私の最後のプライドだった。







『っ………分かったよ。もうここには来ない。神代くんにも迷惑はかけない』


類「……」







本当はもっと問いただしたかった。

でも、ここで感情に流されたら負けだ。

私が惨めになるだけだ。







『…さよなら』







そう言い残して、屋上の扉を閉めた。





バカみたいだ。

彼に背を向けてから、扉を閉めるまで、なんなら今でも。

神代くんが引き止めてくれることを、心のどこかで期待していた。







『…なんでだよ』







学校からの帰り道、静かに涙を流した。

第6話 : 真実→←第4話 : 本音



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そら(プロフ) - 穂花さん» 類くんの優しさを少しでも表現できていたら嬉しいです! (2023年1月7日 11時) (レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
穂花 - 類くんの優しさがとても感じられました。 (2022年11月6日 21時) (レス) @page14 id: 088ffe93fa (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - てるっぴーさん» ありがとうございます!更新遅くなってしまってごめんなさい!良ければまた見に来てくれると嬉しいです! (2022年10月10日 11時) (レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
てるっぴー(プロフ) - コメント失礼します。めちゃくちゃドストライクなお話です!自分のペースで更新頑張ってください! (2022年9月10日 10時) (レス) @page10 id: 312a74a89f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そら | 作成日時:2022年8月17日 17時

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