第14話 ページ15
貴方side
「なんでそんな嘘言うんだよ！」
『！』
出会ってからはじめてだった
転弧くんが声を荒らげて、私に反論したことは
『嘘…？』
「僕のこと…本当はどうでもいいくせに！本当は僕が怖いんでしょ!?いなくなって欲しいって思ってるんでしょ!?僕を助けたのだって本当は…本当は…」
『転弧くん…っ』
これ以上、この子の苦しそうな顔を見たくなくて…
いや違うな…これは私の弱さだ
これ以上、この子の口から続きを聞きたくなかった
この子が言ったことは全て図星だったからだ
でも、少なくとも今は違う
転弧くんに寄り添いたい…少しでもこの子の救いになりたい
私は転弧くんを抱きしめた
「！…っ」
『転弧くん…私は君と居られて幸せだったよ』
「っ…嘘だ」
『嘘じゃない…嘘じゃないよ。
君が家出しちゃったんじゃないかって、不安でいっぱいだった。君を探すのに必死になって、転んで体中傷だらけになった』
「怪我…したの？」
ほら…優しい
こんな状況でも、私を心配してくれる
『平気だよ…。
転弧くんも、寒くない？ずっと雨に打たれてたんでしょ？』
「今は…あったかい…」
私が抱きしめているからだろうか
転弧くんは相変わらず、私に手が触れないように拳を作り、ギュッと握りしめている
たまらなく愛おしくなった
こんなにも健気で…他人を思うことができる子なんだ
『転弧くん。私の家に来ない？』
「え…？」
この子とはじめて会った時、かけた言葉だ
あの頃は…1週間程度で手放そうと思っていた
でも今は、あの頃の私じゃない
自己満足じゃない…偽善でもない…
私の…本心だ
『私、転弧くんが大好きだよ。転弧くんと、ずっと一緒にいたい』
「！」
『強制はしない。でももし、行くところがないのなら…私の家族になってみない？』
私はこの子のことを何も知らない
この子の過去に何があったのかも、この子が何に怯えているのかも…
本当に何も知らない
でも、ここ数日の転弧くんなら知っている
この子は、何を考えてるか分からなくて、根暗で、内に秘めてるものはもしかしたらとても危ないものかもしれない
でも…とても優しい子だ
「家族とかは……よく…分からない」
『…そっか』
転弧くんは俯いてしまった
私も無理強いはしないと決めている
「でも…分かりたい」
『！』
パッと顔を上げ、私を不安げに見つめた
しかしながらこの子の目は真剣で、また縋るようにも見える
『嬉しいよ』
私は再び、転弧くんを強く抱きしめた
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そら(プロフ) - 白兎さん» ありがとうございます！とても嬉しいです！マイペースながら、頑張って投稿していこうと思います (2023年1月21日 19時) (
レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - 真白さん» ありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです！ (2023年1月21日 19時) (レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
白兎 - こういう小説を求めていたのでこの小説に出会えて良かったです、、これからも体調を崩さない程度に投稿していただけたらありがたいです (2023年1月17日 23時) (レス) @page8 id: 0b3ef26d69 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - このケースの話は見たことなかったので楽しみです！ (2023年1月15日 23時) (レス) @page8 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
そら(プロフ) - シロヌコさん» ありがとうございます、これからもマイペースに投稿していきます！暇な時にでもまた見に来てくれると嬉しいです (2023年1月15日 22時) (レス) id: 60384b3469 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そら | 作成日時：2022年8月30日 23時
