1. 両面宿儺 ページ1
此処は杉沢第三高校_学校の図書室には一人の少女が居た。彼女の名前は遷宮寺A、美しい黒髪を持った美女だ。彼女は静かに本を読んでいた。その横顔は優等生の面影を背負っているが、実は読んでいるのが恋愛小説だという事を誰も知らない。
「あの...」
『何じゃ?』
独特な喋り方をする遷宮寺に顔を引き吊らせる図書委員だったが、直ぐに本題に入る。
「そろそろ図書室が閉まる時間なので...」
『そうじゃったか...すまんな』
「い、いえいえ!」
『では失礼する』
背筋をしっかりと伸ばし、気品ある佇まいで遷宮寺は図書室を出て行った。
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遷宮寺が廊下を歩いていると、外が騒がしい事に気付いた。耳を澄ましてみると生徒達の声が聞こえる。内容は「陸部の高木と西中の虎杖が勝負する」と言ったモノだった。
虎杖と言えば同じくクラスの虎杖悠仁だ、身体能力が非常に高い人間という事が記憶にある。
『見に行ってみようかのう』
面白そうに遷宮寺は笑う。
その姿はまるで、楽しい玩具を見付けた様だった。
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「14m!」
「お〜!!」と周りから見物している生徒達が歓声を上げる。高木は「決まった...」と謂わんばかりのドヤ顔をしていた。その顔が驚嘆の表情に変わるのは、直ぐ後の事だが。
「ねぇねぇ...投げ方?よく分かんねぇんだけど適当でいい?」
「ん?まあこの際、それでファウルはとらん」
そう言いながら心の中で高木は思う。
「(すまんな、短距離選手のお前に力勝負を挑んで...だがこれで俺がどれだけ本気か伝わ_)」
そこで高木の心の声が途切れた。何故なら虎杖が砲丸を投げたからだ。しかも...
「俺の勝ち」
30m近く飛び、ゴールの角に当たって凹ませた。近くに居た生徒は青褪め、高木は目を見開き固まっている。
『(本当に凄いのう…)』
遷宮寺は若干顔を引き吊らせ、少し引き気味に笑った。
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2021年2月4日 20時) (レス) id: 9280cade43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬桜椿 | 作成日時:2021年1月21日 15時