57:変化(H) ページ9
「大祝」
前を歩く大祝が何でもないような顔をして振り向いた
「何でしょうか?」
すっかり様になった隊服姿の大祝は、俺の顔を見て首をかしげていた。
「……何故あんな嘘をついた」
「頭を下げるのには慣れてますから」
にこりと微笑んだ大祝に思わず舌を打つ。
「そうじゃねェ」
咥えていた煙草を道端に投げ捨てる。
無性に、今、大祝の顔を見たくなくて、進行方向を変えた。
「何処に向かわれるのですか?副長」
「……煙草買いに行くんだよ。着いてくんな」
ザッ、と大祝の足音が背中から聞こえる。
振り払うように早足で歩くが、まるで意に介さぬとでも言うように後を着いて来る
「そうは行きません。また、以前のように襲撃を受けるかもしれませんし」
「護衛なんざいらねェよ。手前の身くれェ手前で守る」
「恐れながら、私にはそうは見えません」
言い放った大祝は俺の前に立った。
足を止めるより他無かった俺は、改めて大祝の顔を見詰めることになった。
「どういう意味だ」
いくら睨み付けようと、大祝は眉一つ動かさず、刀に手を掛けた
背筋がゾッと冷たくなり、何時もと何も変わらないハズの大祝の目を、正面から見ることが出来なかった
「───御無礼を御許しください」
チャ、と刀の鯉口を切る音を聴いた
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みぃ(プロフ) - コメント失礼します!こちらの作品がとても大好きでいつも楽しく読んでます。更新頑張ってください。応援してます (2019年5月31日 19時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
虎(プロフ) - れもんさん» 楽しみにしてます!私の考えなのですが、伊東さんは、もしかしたら愛情が欲しかったのかな?と思いました。 (2019年2月19日 23時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 虎さん» お返事遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます!!伊東さん…確かに頭が良くて何と無く怖い印象があるのわかります…でも生い立ちもラストも切なくて……。真選組動乱編終了までもう少しですので楽しんでいただけるよう頑張ります! (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
虎 - 面白いです!私は伊東さんっていつ見ても少し怖い印象を持っています。 (2019年2月17日 20時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年2月13日 0時