63:余裕(O) ページ15
「沖田さん」
俺の頬を掠めた刃が、隊士の眉間を貫いた
「テメェ…俺ごと殺る気かィ」
「声は掛けたじゃないですか」
あっさりと刃の血を振るい飛ばすと、次に飛びかかってきた隊士の胴を真っ二つに斬った
人を斬ることにまるで抵抗感の無ェ大祝は、正直言って異常者以外の何者でもねェ。
ただ、ただ、強かった。
そして同時に、驚くほど息が合うことに気付いていた。
───以前、近藤さんに言われたことがある。
俺と大祝は、吃驚するほど似ていると。
その時はそんな訳ねェと突っぱねたが、どうやら近藤さんの見立ては間違っていなかったらしい。
呼吸をするより当たり前に、瞬きをするように自然に、俺と大祝は噛み合っている。
「考え事ですか?流石沖田さん。血塗れになっても余裕ですね」
「楽しくお喋りする余裕があるたァ驚いたぜィ」
「ええ余裕ですよ」
「ナマ言ってんじゃねぇや、新入りが」
ふっ、と大祝が吹き出した声が聞こえた。
互いに血塗れになった姿が何となく面白く、俺も釣られるように笑った。
血の海、死体の山。
そんな状況で笑える俺も、大概イカれてる。
「悪ィな、肩ァ貸してくれィ。誰かさんが遅かったんでだいぶ消耗しちまった」
「何ならおぶって差し上げましょうか?」
「テメェ近藤さんの前じゃァ猫被ってただろィ」
「はて、何の事やら」
生意気に笑う大祝の肩を借りながら、車両後方のドアを開ける。
「ちぃと働きすぎちまった。残業代でますよねコレ」
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みぃ(プロフ) - コメント失礼します!こちらの作品がとても大好きでいつも楽しく読んでます。更新頑張ってください。応援してます (2019年5月31日 19時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
虎(プロフ) - れもんさん» 楽しみにしてます!私の考えなのですが、伊東さんは、もしかしたら愛情が欲しかったのかな?と思いました。 (2019年2月19日 23時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - 虎さん» お返事遅くなり申し訳ありません。コメントありがとうございます!!伊東さん…確かに頭が良くて何と無く怖い印象があるのわかります…でも生い立ちもラストも切なくて……。真選組動乱編終了までもう少しですので楽しんでいただけるよう頑張ります! (2019年2月18日 23時) (レス) id: af4b9b062a (このIDを非表示/違反報告)
虎 - 面白いです!私は伊東さんっていつ見ても少し怖い印象を持っています。 (2019年2月17日 20時) (レス) id: f0c523c988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年2月13日 0時