102:時代(晋作) ページ4
「大変だ大変だ大変だぁぁぁぁあっ!!」
スパァンッ!!襖が開け放たれ、僕は盃を片手に持ったまま現れた弥兵衛に舌を打った
「喧しいぞ弥兵衛」
いつも騒がしいやつではあるが、今日は一段とうるさい。
「たッ高杉さん!久坂さんッ!吉田さんッ入江さんッ!!!大変なんですッ!!」
「何が大変なのですか?」
「ま、落ち着いて茶でもどうだ?」
苦笑いを浮かべる稔麿と玄瑞、何時もの事だと黙々と酒を飲む九一。
ゼーハーと息を切らす弥兵衛は激しく頭を振って否定した
「飲んでる場合じゃないんです!!客間に来てくださいッ!!」
「まず、何が起こったのか教えてもらえません?」
「それは私から説明しようか」
ぬるりと現れたのは柔和な笑みを浮かべた桂。
いい加減、ここまで焦らされると、流石のこの僕も苛ついてくると言うもの。
「桂さん、いらしてたんですか」
「今しがたな。弥兵衛、お茶をいただけるかな」
「あ、は、ハイッ!!」
「で、何が大変なんだ」
ふーっ。と息を吐き出して、緩慢な動作で、焦らすように口を開いた桂の言葉に、僕は盃を取り落とした。
「高杉ッ!!」
気が付けば走り出していた僕の背中に、落ち着けよと呼び掛ける声が聞こえたが構ってはいられない。
「──Aッ!!」
開きっぱなしの客間の真ん中で、あの日と変わらない姿のAが、規則正しい呼吸で眠っていた
・
91人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みぃ(プロフ) - 続編おめでとうございます!これからの展開がすごっく楽しみです!これからも頑張ってください。 (2019年8月13日 23時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:東雲出雲 | 作成日時:2019年8月12日 14時