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10分もしないうちに、木製の扉が吹き飛び、スーツにシワをつけたAが運転席の扉を開いた
「A?」
「悪い、助手席に移動してくれる?」
「へ?別に構わないけど」
落ち着いた表情のAだが、メローネを助手席に押しやると大きな音をたてて扉を閉めた
「ああ、早くして、移動したらシートベルトを、早く、出すぞ」
「構わねぇが何をそんな――――っう!?」
言い切る前にアクセルを踏み込んだせいで、メローネは頭をしたたかに打ち付けた
「予想はしてたが、やっぱり的中だ。おい、ちゃんとシートベルトをしろってば」
強引にハンドルを切るAのせいで、メローネは中々シートベルトをしめられずに、曲がる度に何処かに頭をうった
「何なんだよ一体!」
「サイドミラーを見てみろよ」
「サイドミラー?……!」
鏡の奥には三頭の犬──いや、狼のような動物が目を血走らせて追ってきていた
「理解したか?飛ばすぞ」
有無を言わせず速度をあげるAの二の腕は切り裂かれていた
「その傷は?」
「あ?……どこかでかすっただけだろ、っち、」
路地から現れたソレに、Aは思いっきりハンドルを切った
「A右!」
「ドア開けろ!!」
「ドア!?」
「早く!」
蹴破るように開いたドアに狼が勢いよくぶつかると、狼はドアごと吹っ飛んだ
「っマジかよ……!」
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作者名:東雲出雲 | 作成日時:2018年7月1日 15時