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「大丈夫ですか?」
谷底から登ってきた聖騎士達はゲーナに目もくれずに切り上げようとする中、一人の魔法使いらしき男が声をかけてきた。黒い服に身を包む、恐らく高位の魔法使いだ。
「あなたは……外つ国の人ですね?」
「俺をヴォイドとか呼ばねぇのな」
ニコラスと名乗ったその魔法使いは、異国人であるゲーナに対して偏見の目はないようだった。クルカム人にしては珍しいなとゲーナは思ったが、ただそれだけだった。
ニコラスは聖騎士達と共に、次の悪魔を討伐へ向かうらしい。悪魔から取り返した土地には結界をはり、魔物が侵入できないようにして新たに拠点を作るらしかった。
そしてニコラスはゲーナにも悪魔討伐に協力してほしいと言う。聖騎士達は強いが、どうしても人手が足りていないのだと。協力してくれるのなら相応の謝礼は出すとも言った。
「構わねぇよ、金さえ貰えるのならな」
「感謝します、外つ国の人」
優雅な所作で頭を下げるニコラス。その様子を見たゲーナは内心で舌打ちをする。恐らくニコラスは貴族か、そうでなくとも高い地位にあった人間なのだろう。ゲーナは貴族が嫌いだった。どころか、金を持っている人間は全て嫌いだった。
「次の悪魔討伐はいつになるんだ?」
「近辺に結界をはり仮の拠点を作ったら、すぐにでも」
「おう、わかった」
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