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時透 「一番不安なのはAだってわかってる。
だけど、Aが僕の隣にいなくなるってことを考えたら、
自然に涙が溢れてきて。
僕がAを安心させてあげないといけないのに。
Aを落ち着かせてあげられるのは、
僕しかいない。
だから僕は、泣いてはいけないのに。
そう思ったら、
僕は本当に弱いんだって分かったよ。」
最近の時透君は、
本当にAに似てきた。
竈門 「時透君は強いよ。」
時透 「…そんなのでたらめだよ。」
竈門 「いいや、時透君は強い。」
別に、時透君を励ますためじゃない。
これは、俺の本心。
竈門 「時透君は今まで、たくさん抱え込んでいた。
それでも、なにか一つを疎かにしたことはない。
強い人だって、泣きたいときはあるよ。
不安で、辛くて、叫びたいときだってある。
でも、それを乗り越えて、
前を向いて、
今まで通りに生きていけるから、強い人だと言われるんだ。」
時透君は、決して弱くなんかない。
強いよ。とても。
刀鍛冶の里にいたとき、
全身で鉄穴森さんや小鉄君をかばって、
死にそうになっても、
小鉄君たちを守るために、
水牢から脱出して。
命をかけて戦うのは、
鬼殺隊である限り皆同じだよ。
だけど、誰だって死にたくないと思ってしまう。
鬼殺隊でないAだって泣き出すくらい怖かったんだ。
柱が強いと言われるのは、そこだと思う。
自分の命より、他人の命を優先できる。
それだけじゃない。
煉獄さんも、時透君も同じだった。
いくら致命傷を負っても、
戦い続けていた。
死ぬとわかっていたのかもしれないけど、
何もせずには死ななかった。
俺は、何度も怪我をしている。
重症を負っている。
それなのに、煉獄さんと一緒にいるとき、
動くなと言われて動かないほど、弱かったんだ。
俺がもっと強ければ、
彼を助太刀できたかもしれないのに。
時透君が弱ければ、多分強い人なんていないよ。
それに…。
竈門 「…俺はね、
Aが好きだよ。」
時透 「…え？」
竈門 「でも、Aは時透君が隣にいなければ駄目みたいだ。」
時透 「…。」
竈門 「時透君は、俺よりもたくさんのものを持っている。
強さや素直さ、優しさ、慕っている人だって持ってる。」
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