119 ページ27
平助 「まぁ、待てよ。
そんなん後でいいから、行って来い。」
無一郎「…へ?」
平助 「ここをまっすぐ行ったら、
いるから。
二人で俺のところに来い。」
平助に背中を押され、
僕は前に歩き出す。
…まさか…。
銀杏の木が立ち並ぶ道を、ゆっくりと進んでいく。
「…うっ。」
…どこからか泣き声が聞こえてきた。
声のする方へ近づいていく。
無一郎「…A!!」
A「…時…透君。」
僕は思わず彼女を後ろから抱きしめる。
久しぶりなこの感じ。
胸の高鳴り。
涙があふれる。
無一郎「A!A!!
ごめん。ごめんね。
君が一番つらいとき、そばにいてあげられなくてごめんね。
最後に一緒にいてあげられなくてごめん。」
すると、Aは僕の手に自分の手を当てた。
A「…ずっと見てた。
ここで、応援してたよ。
死んでほしくなかった。
貴方には…幸せになってほしかったのに…。
でも、貴方を応援してたよ。
届いていなかったかもしれないけど。」
無一郎「ちゃんと届いてたよ。
君の応援があったから、
僕は頑張れたんだ。
これまでに何度も助けられてきた、君の声援に。」
彼女は驚いた顔をした。
無一郎「僕は、君と出会えて、
仲間のために戦えて、とても幸せだったよ。
だけど、君がいないと、幸せじゃなくなるんだ。
僕は君の隣でないと、生きていけないんだ。」
A「…そんなこと…。」
無一郎「初めて好きになった人。
今もずっと大好きな人なんだ。
離れ離れなんて嫌だ。
ずっと隣りにいてほしい。
鬼がいない世界で、一緒に生きてほしい。
もう二度と、この手を離しはしない。」
A「…時透君。
…ありがとう。」
僕達は立ち上がり、
互いに微笑み合いながら、兄さんたちのもとに帰った。
有一郎「…来たな。」
兄さんたちが同じ場所で待っていた。
無一郎「…平助。」
平助 「…。」
僕は平助に声をかけた。
無一郎「…約束を守れなくて…
ごめんなさい。」
A「え?」
平助 「…俺はお前を信じてた。」
そうだよね。
僕は、彼の期待を裏切ってしまった。
60人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ