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平助 「まぁ、待てよ。

そんなん後でいいから、行って来い。」








無一郎「…へ?」

平助 「ここをまっすぐ行ったら、


いるから。



二人で俺のところに来い。」




平助に背中を押され、


僕は前に歩き出す。









…まさか…。








銀杏の木が立ち並ぶ道を、ゆっくりと進んでいく。















  「…うっ。」







…どこからか泣き声が聞こえてきた。

声のする方へ近づいていく。



















無一郎「…A!!」








A「…時…透君。」








僕は思わず彼女を後ろから抱きしめる。



久しぶりなこの感じ。



胸の高鳴り。





涙があふれる。






無一郎「A!A!!

ごめん。ごめんね。

君が一番つらいとき、そばにいてあげられなくてごめんね。


最後に一緒にいてあげられなくてごめん。」




すると、Aは僕の手に自分の手を当てた。



A「…ずっと見てた。


ここで、応援してたよ。

死んでほしくなかった。


貴方には…幸せになってほしかったのに…。



でも、貴方を応援してたよ。



届いていなかったかもしれないけど。」






無一郎「ちゃんと届いてたよ。




君の応援があったから、

僕は頑張れたんだ。


これまでに何度も助けられてきた、君の声援に。」



彼女は驚いた顔をした。



無一郎「僕は、君と出会えて、

仲間のために戦えて、とても幸せだったよ。



だけど、君がいないと、幸せじゃなくなるんだ。

僕は君の隣でないと、生きていけないんだ。」


A「…そんなこと…。」


無一郎「初めて好きになった人。

今もずっと大好きな人なんだ。

離れ離れなんて嫌だ。


ずっと隣りにいてほしい。



鬼がいない世界で、一緒に生きてほしい。






もう二度と、この手を離しはしない。」








A「…時透君。


…ありがとう。」






僕達は立ち上がり、

互いに微笑み合いながら、兄さんたちのもとに帰った。















有一郎「…来たな。」


兄さんたちが同じ場所で待っていた。





無一郎「…平助。」

平助 「…。」


僕は平助に声をかけた。




無一郎「…約束を守れなくて…


ごめんなさい。」




A「え?」








平助 「…俺はお前を信じてた。」





そうだよね。

僕は、彼の期待を裏切ってしまった。

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作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年11月23日 16時

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