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鎹鴉から文が届いたのは昼間だったのに、
泣いてふと外を見れば、もう真っ暗だった。
時透 「Aのところへ行かないと…。」
足が重い。
彼女を見たら、もっと涙があふれると思う。
最後に一緒にいてあげられなかった。
柱稽古で、会いにいく時間がなかった。
最後に会ったのはいつだっけ。
蝶屋敷に着くと、
ベッドに横たわって目を瞑るAと、
その隣りに座って涙を拭う宇髄さんがいた。
さっきの文は宇髄さんが書いたんだ。
宇髄 「…来たか。時透。」
時透 「…宇髄さん…。
胡蝶さんは…。」
宇髄 「今、仲の良かったあいつの継子とちびっこたちに話してる。」
時透 「…そうですか…。」
食欲もなかったんだろう。
前見たときより痩せてる。
僕は、Aの手を握る。
冷たい。
でも、以前とは変わらない
白くてすべすべしている手。
ずっときれいだと思っていたAの髪も、
そのままだ。
いつになっても、
僕が大好きなAだ。
いかないでほしかった。
最後に、好きだと言いたかった。
僕はまだ、やり残してることがたくさんあるのに。
時透 「…A
…A…。」
ひたすら涙を流す。
名前を呼びながら、
彼女の頬を撫でる。
ごめんね。
君が一番つらいとき、
寂しいとき、
苦しいとき、
側にいてあげられなくてごめんね。
僕に、たくさんの気持ちを教えてくれてありがとう。
ついてきてくれてありがとう。
好きになってくれてありがとう。
僕は、
無茶ばっかりして、とても馬鹿なのに
誰にでも優しくて、素直で、
みんなを笑顔にしてきた君が、
今も
大好きだよ。
君の応援が、いつだって僕を支えてくれた。
ありがとう。
宇髄 「幸せに生きろってよ。
鬼のいねぇ世界で。」
時透 「…馬鹿。」
無茶言わないでよ。
君がいない世界で、
幸せになれるわけないでしょ。
僕はね、
Aみたいに、できた人間じゃないから、
生きているだけで幸せだなんて思えないよ。
君がいないとだめな僕って、
欲張りなのかな？
まだ、二回しか接吻してないよ。
まだ、一回しか逢引してないよ。
君があの着物を着たとこ、一度も見てないよ。
十五で死ぬって、早すぎるよ。
時透 「…お願い…起きてよ…。」
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