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ある日、ニュートはそわそわしていた


と言うよりもモジモジしていると言うべきか

動物達と静かに会話するAを一瞥しては目を逸らして何か言いたげに迷ったように口の中で言葉を籠らせる



そのヘタレっぷりを側で見ているピケットは呆れたように溜め息なるものを吐く


そしてニュートの袖口を引っ張っては早く言いたい事を言うように促す




「いや、でも言って良いのか分かんないし…

わ、分かった、分かったから!そんなに怒らないでよ」




腕を組んでフンッと鼻で息を吐いたピケットはニュートから降りてAの元に歩いて行く背中を見送った



ニュートが何で悩んでいるのか

何となく分かったピケットは、やれやれと言わんばかりだった



座って動物達とポツポツと会話を紡ぐAの近くに立ったニュートはしゃがんで、彼女と目線を合わせる

それに気付いたAは会話を止めて口を一文字に結んだ




だからあまり言い出せなかったのだ

彼女が話を止めなければならないから



未だに信頼のようなものを置いてくれていない事をニュートは知っていた

それでも言う事を聞いてくれているのは今までの人間からの躾の所為であり、彼女の優しさのお陰だ




「あ、あの、さぁっ…!」




開口一番は上擦って裏返った声だった


その後も、あー、だとか、そのー、だとかを紡いでいたが、意を決したように一旦口を閉じてAを見る




「も、もし良かったらさ!Aのペルセルトの姿が見たいなぁ、って…」




願わくば乗せて欲しい。と、最後にぼそりと呟いて困り眉になった



そして不安げに俯きつつAを覗く

上目遣いのようになってしまうのは致し方ない




暫くの間

ニュートの言葉の意味を飲み込んだAはそっと告げる




『スキャマンダーさんが、そう望むのなら……』




すると何の前触れも無く、姿を変える

その時間は僅か一瞬。姿くらましをするのと同じくらいだった




「凄い……」




目の前に現れた生物に、ニュートは感嘆して息を呑む


綺麗な灰色の毛、大きな体、綺麗な黒の皮膚

途切れた尻尾と、栄養不足による毛先の白は胸を痛めるが、それでも綺麗なものだとニュートは思った



そんな幻の生物であるペルセルトの目が髪で隠れて見えない

考えるよりも先に体が動いたニュートは、その前髪に相当する部分にそっと手を差し込んで搔き分ける




すると、今まで見えなかった二つの蒼が姿を現す









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時々雨(プロフ) - コメント失礼します。まだペルセルトちゃんの笑顔が見れてないので、いつか見れるといいなと思いました!とても気になるお話で、続きを楽しみにお待ちしてますね! (2020年11月20日 22時) (レス) id: 5e6f4aeb76 (このIDを非表示/違反報告)
Haruka Abe(プロフ) - すごく面白いです! (2019年10月16日 1時) (レス) id: a5df0a293e (このIDを非表示/違反報告)
ケイ(プロフ) - 面白いです。文に奇想転結があって頑張ってください (2019年9月4日 3時) (レス) id: 24833da0d8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年7月15日 18時

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