【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 5【今から皆さんは人質です】

三回忌〜sideなし〜 ページ9

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外はすっかり夕方




A組生徒は教室から出て、今日あった出来事に花を咲かしながら校門をぞろぞろと出て行こうとする





「ぶっきー凄いよね」





宇佐美が発したそんな声に、一同が足を止めて振り向く





「結局あれから病気と闘って1年も生きたんだから」



「あー、最後の最後までしぶとかったなぁ」



「しぶといって…」





そんなツッコミが入ると、笑いが起こり


穏やかな空気が流れる





「やっぱり先生はヒーローだったんだよ」



「そうかもね。

ま、愛の力でもあるんじゃない？」





諏訪のその言葉に、一同が納得したように、あー。と漏らす


すると生徒達の顔は、まるで柊を揶揄うようなニマニマとした顔に変わった





「あれ絶対好きだったよな！」



「最後の最後だけしか見てないけど分かる。

ぶっきーの愛は強い」



「ホントにね。
元々距離近めだったし」



「ま、Aはどうだったか知らないけどね」





そんな話で三回忌とは思えないくらい明るく盛り上がっていると、思い出したように、声が上がる





「あ、そういえばマイボイの身代金ってどうなったの？」



「全額ユーザーに返金されたって聞いたよ」





へぇ〜と声を漏らしている中、宇佐美は逢沢の方に足を向けて、尋ねた



それは、今この場に足りない人の事だった





「ねぇ、さくらは？」



「あぁ…もう少し教室に居るって」



「ふーん…
じゃあ、Aは？結局来なかったけど…」



「それは、分かんないや。

俺も連絡先知らないし、茅野も持ってない」





少しだけ頭の何処かで引っ掛かって仕方ないというような表情を2人してするが、それは直ぐに消えていった




そして生徒達は、この後飲みに行こう！と盛り上がり

喪服を着ているのにアンバランスな笑顔を浮かべてその道を歩いた







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