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今日は先生の希望で、2人で屋上に出た
もちろん、医師の許可は下りている
もう時期春が来るとは言えど、寒いものは寒い
車椅子に乗った先生の膝には、ちゃんと寒くないように小さな毛布を掛けている
この寒さだと、ブランケットじゃ効かない
ちなみに、先生が車椅子に乗っている理由は安全面と健康面を配慮したため
あと、体力がかなり少なくなったから、歩いて疲れるより断然マシという先生の判断
「空、綺麗だな」
『この時期だから澄んでますね』
久々に吸った外の空気は、都会の割には綺麗な気がして
冷たいそれが少し、肺を刺激する
空は高くて、晴れ渡っていて
夏には見られない、この時期独特の青が広がる
「もし部活中だったら、絶対に風景画描かせる」
『あー…ふふっ、確かに。
じゃあそのときは、ちゃんと日陰の所で描かないとですね』
「あぁ」
頷いてから先生は “ここで止めて” と言って来たから、車椅子を押すのを辞めてストッパーを掛ける
そしたら先生は満足そうに、ふわっと笑ってから
車椅子の隣に設置されているベンチをポンポンと叩く
おいで。って口にしなくても、それは分かる
それに従って、そこに座ると
隣から腕が伸びて来て、
私の手を掴んで、自分の膝に掛かってる毛布の下に入れた
「冷たいな…
どうだ？温かいだろ」
『…はい。温かいですね』
そのまま毛布の中で指を1本ずつ絡め取られて、キュッと少しだけ弱い力で握られる
…先生、まだ生きてる
ちゃんと、今、ここで生きている
青空をバックに空を眺める先生は、まるでアート作品みたいに綺麗で
凄く、眩しくて
あぁ、あと少しなんだなぁ…と勝手に思う
それと同時に思い出す
最終日、先生がぽろっと漏らした本音
『先生…』
「ん？」
『…死ぬのって、怖いですか？』
あのとき先生は、確かに “死ぬのは怖い” と口にしていた
少しばかり震えた肩と
今までの緊張を全て下ろしたような大きな背中を今でも覚えている
「そうだなぁ…
今までの思い出や時間を全部棒に振るのは、怖いかな。
今まで大切にしてきたものも、してきた人も全部、リセットされるんだ。
そう考えてみると、忘れるのも怖いのかもな」
そっか
先生はずっとそんなことを感じながら日々を生きていたのか
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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (
レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え？最終更新日が…？また更新されるのですか？期待しても良いのでしょうか？笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年5月14日 23時
