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・〜柊side〜 ページ16







久し振りに見たAは、最後に見た日とあまり変わっていなかった



いや、少しばかり痩せたか…?


入院している筈なのに、細くなってるって事は、食ってないのか




そんなあいつは、良く言えば落ち着いて、悪く言えば淡々と質問に答えていた





「じゃあ何故バイトした」



『父の借金返済です』



「金額は?」



『分かりません。
それこそ、その辺りは喜志さんに聞くのが早いかと』



「…かもな。

で、他の理由は」



『…特には』





…隠したな


きっと、郡司さんの時間をなるべく取りたくないというAの配慮なんだろうが、この場においてそれは無用…


って事をもし言えたとしても、あまり受け入れてくれないんだろう



自分の事は常に後回しだからなぁ




でも、それと同時に、俺には言って刑事には言わないという事実に、ほんの少しの幸福感と優越感が湧いてきて


何とも複雑だ





「もう1つ、聞きたい事がある。

柊との共犯の容疑に関してだが、それについてはどう説明するんだ」





あぁ、確か俺もそんな事聞かれたな



俺の知らない間にAが口パクで、爆破する。的な事を言っていたらしく、疑われていた





郡司さんも分かってはいるが、一応といった感じで俺にも尋ねてきた


勿論、事実無根だから首を振ったら、だよなぁ。と呆れたように言っていたのを思い出す





『…判断は、郡司さんに任せます』



「…そうか」





郡司さんのその言葉が出た後、2人に沈黙が流れた




…そうだった


最近やけに饒舌だったから忘れていたけど、Aは聞かれるまでじっと待っているようなやつだった



特に、こう言うような質疑応答みたいなのは特に


あんまり自分から喋ろうとはしない





口元に小さく穏やかな笑みを浮かべたまま、じっと黙っている姿は


何処か懐かしさを覚えた





「…郡司さん、もう、終わりですよね?」



「まぁ……あ、忘れてた」



「…個人的な事でしたら、僕は出ますからね」



「おう」





そう言って郡司さんは、お疲れ。と言うように片手を上げた


じゃあ個人的な話ってわけだ





若い刑事さんは扉から出てきて、少し驚いたようにこちらを見る



きっと、俺がAの事情聴取を受けているのを見ているのに驚いたんだろう




だが、その刑事さんは何か納得したような顔をしてから会釈して出て行った







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設定タグ:3年A組 , 柊一颯 , 菅田将暉
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おひな(プロフ) - 感動しました。ありがとうございました。 (1月9日 23時) (レス) @page44 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
玲生(プロフ) - 私こんな綺麗に泣いたことないかもってぐらいすーって涙ながれた (8月14日 22時) (レス) @page44 id: 7f34fd14ff (このIDを非表示/違反報告)
ケロッピ(プロフ) - ありがとうございました (8月6日 1時) (レス) id: fb652d6333 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 柊先生の生存ルートも書いてほしいです (2021年3月19日 16時) (レス) id: b4ba18a803 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - え、え?最終更新日が…?また更新されるのですか?期待しても良いのでしょうか?笑 (2021年1月18日 23時) (レス) id: 76abfc2842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2019年5月14日 23時

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