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先生は逢沢の名前を呼んでパソコンを持ってくるよう指示した


そして目の前に置かれたパソコンにメモリーをセットして、諏訪さんの肩を引き寄せ操作を始める



その周りに他の人達も集まった





「これは…」



「フェイク動画の顧客リストだ。

この中に、景山を陥れようとした人物がいる」





そう言って先生はその場を離れた


…何となく、予想はついている



だからパソコンの前には行かずにドアの近くに立っていた





「ちょっと待って…これ見て!」



「、ウソでしょ…」





信じられない

そんな含みを持つ声が聞こえて、予想が確信に変わりそうだ


…きっと、景山が言ってた人物なんだろう

そしてそれは多分、先生は知っている





「これで少しは、気持ちが変わってくれたかな?

まぁ勿論、そのリストだけじゃ証拠にならないし、まだ背後に大きな力が働いているかもしれない。

でも、だからこそ!ここで退くわけにはいかないんだ。

景山の死を無駄にしないためにも…
もう二度と、景山のような犠牲者を出さないためにも…!

…俺に、協力してくれないか」





あぁ、そうか

やっぱり先生は、もっと大きなものと戦っているんだ





「…さっき先生が言ってた、“迷って、踠いて”、ダメだった時、
傷付くどころか手遅れになるんじゃないかって…

犯罪者のレッテルを貼られて、普通の道を歩けなくなるんじゃないかって…」



「そんなことにはさせない!

全ての責任は、俺が持つ」



「口では何とでも言えるよな」





あー、なるほど


先生のしたいことが分かった





「…だったら、これから証明してやる」





そう言って先生はパソコンを再び操作し始めた


…あの揉めようからして、特殊部隊とか来たんだろうか



先生のやりたいことは分かる。でも


一人で背負うにはあまりに大きい





『…先生、それは重過ぎますよ』





先生の目をじっと見つめれば、私が言いたいことを汲み取ってくれたのか少し目を伏せる

でも迷ってる様子はなく、答えは直ぐに出た





「…頼む」



『はい、分かりました。

無理しないで下さいね、寿命縮まりますよ』



「…努力する」



『……』



「分かった、無理しないから一人で行くなバカ」





そう言われて、足を止め、先生の方を向く


…割と本気で焦っていた





「いや、何で今ので会話成立出来てんの?」





こんなのただの、探り合いと顔色を伺うことの延長戦だ


慣れるが勝ち







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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月28日 0時

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