【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ14)

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・～柊side～ページ14

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あの時…生徒に拳銃を向けた時、

Aの顔が強張った。

五十嵐さんの言っていた地雷ってやつだったんだろうか…

その後に肩で息をし始めて、胸の中心辺りを強く握って

ゆっくりとしゃがみ込んだ

1人で堪えて、呼吸を整えようとしていた姿が酷く痛々しくて

でもあの状況だったから手を出す事は出来なかった。

それの何が大丈夫だって言うんだ。

そう言おうとしたけど、誤魔化されるのは目に見えている

きっと困ったように笑うだろう

その表情も時に痛々しく感じる

「…寝ない、のか？」

話題を変えようと咄嗟にそんな言葉が出た

なかなか口調が辿々しいかったな…

まぁ、気になってたから別に良いんだけど

聞いてみたは良いものの、数秒の沈黙が生まれた

こいつと喋っていて珍しい事ではない

『…寝た方が、良いですか』

でもそういう時は、大抵言葉を探っている時だ

考えて、言葉を探って、見つからなかった時

選択をこちらに委ねる

尋ねたAの顔を見て分かった

「寝れない？」

『…多分ですけど、今は何やっても駄目だと思います』

すみません。と後から聞こえてきそうな顔だったから

思わず頭を撫でた

…何でそういう体質なのかは知らない

調べてみた資料にその原因となりうる事柄は載っていなかった。

だから…という訳じゃないけど、こいつの情報が本物なのかを疑っている

一回だけ景山にも聞いてみたけど、

あいつは笑って誤魔化すだけだった

秘密にしたいのか、本人に聞けって意味なのか…

『先生…』

「！…何だ？」

『…先生は、笑顔の方が似合いますよ』

そう言わせるほど酷い顔をしていたのか？

思わず顔を触ったら、Aが再びクスッと笑った

あー、今の可愛い

そう思いながらAの手を握って、美術室に向かう

『…絵、描いてますね』

「ああ」

俺の意図を読み取ったらしく、大人しく手を繋がれたまま歩きだした

握ったAの手が、少しだけ細くなっているのは

きっと気のせいじゃない

…消えそう

そんな不安と薄っすらとした恐怖がふわっと訪れる

だから無意識の内に握っている手を更にギュッと握った

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