【3年A組】杭は出なきゃ打たれないはず 2【今から皆さんは人質です】 (ページ13)

今日:13 hit、昨日:1 hit、合計:445,803 hit

・ページ13

・

爆発の後、甲斐くんや石倉くんが美術室を見に行って、放心したような顔をして戻ってきたのが印象的だった

多分茅野さんも覗いたんだろう

あのとき怯えた顔をしていた

クラスもみんなも暫く泣いていて、今は泣き疲れたように眠っている

かという私は、美術室に入るわけでもなく廊下で瓦礫を眺めていた

座るわけでもなんでもない

ただ立ったまま、ボーッとしてる

「A…」

そうしてたら先生が来て、横に立った

心配そうな声色だったから向いてみれば、泣きそうな顔をしていて

『…先生、眩しいですよ』

「…え？」

それでいて、綺麗で眩しかった

そんなことを突然言われた先生は表情が変わって、訳分からないと今にも言いそうだ

綺麗だと思ったことは事実だけど

良かった、泣きそうな顔じゃなくなった

『…ある程度、先生がしたいことが分かったような気がしました』

「…早いなぁ、もう少しゆっくりでも良かったのに」

『でも、ぼんやりと全体像みたいなのが見えただけです。中身は、何も…』

「…流石だな」

何かを汲み取ったのか、先生はボソッと呟いた

その何かは私自身が分かってないけど

「…今は詳しく聞かない。

郡司警部補とも知り合いか？」

突拍子もなく先生が聞いてきた

いや、突然話が変わるのは今に始まったことじゃないし私もよくやることだから気にしないけどね

『…五十嵐さんと同様です』

「お世話になっちゃったのか」

『まぁ、本人に聞くのが早いですよ。それか五十嵐さん』

「…保留」

何だそれ

思わず小さく笑った

そしたら先生は一瞬目を見開いてから柔らかい表情をした

だけど、その表情は直ぐに終わって俯いてしまった

表情豊かだなぁと思いながら視線を戻す

視界に映るのは、1日目に崩れてから何も変わらない瓦礫

「…大丈夫か？」

『えっ、？』

聞き返すのは今度は私の番だった

「あのとき、胸辺り押さえてしゃがんだだろ」

『あー…』

先生の方をチラッとみれば、

顔を覗き込むような体勢でこちらを見て、自身の胸の中心辺りをトントンと指で差していた

バレていた

机の後ろに隠れて小さくなってたのに

でも逆に考えれば情報はそれだけだ

『大丈夫です。何ともありません』

先生と目を合わせてそう伝えれたら、少しだけ先生の眉が寄った

何が不満なんだろう

・