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やっぱりこの状況だと誰も手をあげることはなかった
先生は呆れたように溜め息を吐く
「しょうがないなぁ…
じゃあ、誰かに裁きを受けてもらうか」
ゆっくりと発せられた言葉にクラスのみんなが息を呑む
さっきまで私の胸倉を掴んでいた水越さんや、
余裕そうな表情をしていた諏訪さんまでも固まっていた
「だーれーにーしーよーうー…」
_ブーッ
言っている途中で誰かの携帯のバイブレーションが鳴った
携帯持ってるの先生だけなんだけどね
「あ、悪い悪い。携帯の電源切るの忘れてた」
そう言って先生は携帯を取り出すと、動揺したように一瞬動きを止めた。
電話に出たと思えば窓の方に歩いて下を見る
電話の相手がそこに居るんだろうか
「何で警察が文香の携帯を…
彼女と話したのか。何を話した。
…答えろッ!!文香に…」
フミカ…
気付いたら男子が窓から先生を引き剥がして床に固定していた
多分、先生が背を向けて一点に集中していて、それは絶好のチャンスだから
「リモコンを取れッ!!」
「取ったぞ!」
「今まで随分と遊んでくれたな…!」
先生の上に跨った甲斐くんが胸倉を掴んで顔を何度も殴る
その衝動で先生の眼鏡が音を立てて床に転がった
だめ
なんか、良くない
嫌な雰囲気
逆らったら倍返ってくる…
どこか嫌な予感を感じながらもその様子を眺めていると、先生が顔を上げて奇妙に笑う
あ、ヤバい
「何笑ってんだよ、頭可笑しくなっちまっ…」
ピッと機械音がした瞬間、掃除用具入れの近くにいた諏訪さんを引っ張った
_ドォォォォンッ!!
『っ、…』
「!?」
爆発したのは掃除用具入れで、
その蓋が飛んで左腕に当たった。
…これは結構ヤバい、痣は確定
「何だよ今の!?」
「いや俺じゃねーよ!!」
それでも咄嗟に引っ張った諏訪さんは無傷だったから安心した
モデルさんに傷付けるとか言語両断
怪我してないならそれでいい
「俺がお前らの動き見て、何も警戒してなかったと思うか?」
先生は甲斐くんを蹴り上げて退かし、立ち上がる。
そして自分のズボンの裾を捲って見せると、
足首には腕にしていた筈のものと同じものがあった
「何で、リモコンがもう一台…」
「こっちが本物だ。それはただの時計だよ」
ほら、マズい状況になった
何もしなきゃ何もされないのに
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優(プロフ) - ごめんなさい、不謹慎だけど主人公冷静にツッコミしすぎて笑ってしまった笑 (2022年4月12日 0時) (レス) @page32 id: 4806b1b4dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - 苗字で呼ばれるなら変換できるようにしてほしい!自分渡瀬じゃないんで! (2019年3月31日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちもち | 作成日時:2019年3月17日 23時