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零頁─眼帯少女ト初詣 5─ ページ31

「ありがとうございます。Aさんはどんな願い事を?」

「敦君、彼女にそれを聞いても教えてはくれないよ。私も昔そうだったからね」

『それは太宰さん達が条件を達成しなかったからですよ。それに私の願い事を聞いても何の得にもなりませんから』

「しかし今はその条件が無い。私は得にならなくても知りたいけどね。私に云えないのなら敦君には教えてあげなよ」



にっこりと微笑みながらも私の逃げ道を潰していく太宰さん。


本当に面白くもないんだけどね。

寧ろ、私が恥ずかしくなるというか。


短くため息をつく。

敦君に云うと後で太宰さんに問いただされるだろうから可哀想だし、ここは安定の国木田さんか。




『では国木田さんにだけ教えます。丁度、信号待ちですので』




後ろから何やら不満の声が聞こえてくるが気にしない。

助手席に座っているのでシートベルトを外さなくとも国木田さんだけに伝えることが出来そうだ。

口の動きから悟られないように口元を手で隠す。




『一つは楽しく暮らせますように。もう一つは────』




二つ目の願い事を云うと彼は目を丸くさせた。

それと同時に信号が青に変わる。




「そんな反応だと尚更気になるのだけど」




予想外だったであろう国木田さんの反応に、太宰さんは口を尖らせ不満の声を漏らした。




「太宰」

「何々?もしかして教えてくれるのかい?それなら」

「師は大切にしろ。師は己の一部だ」




国木田さんは顔を正面に向けたまま啓発の言葉を発する。


太宰さんの動きが止まる。

その意味が上手く解釈できていないようだった。


そして、次第に判ってきたようで。




「あ、あのAが?いや、それは...」




一生秘密のはずだった私の願い。

珍しく狼狽える太宰さんを見ていると、軽く伝えた国木田さんを咎める気にはならなかった。


この街に住まう人々が平穏で幸せな生活を今日も当たり前に送る。

全てを愛し、私の手が届く範囲で差し伸べる。


────それを見られるだけで私は幸せです。

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設定タグ:文スト , 太宰治、中原中也 , 原作沿い   
作品ジャンル:アニメ
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煉華☆(プロフ) - 書いたつもりだったのですが(;・∀・)中也さんはもう少し夢主と絡ませる予定です!コメントありがとうございました! (2017年2月13日 10時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 名無しさん» こんにちは(*^^*)やっぱり分かりにくかったですかね?何故かシリーズ化しないんですよ...。説明欄から行けるようにURLを貼っているのですが、また今度見えやすいようにしておきますm(_ _)m お、気づいてもらえましたか!自分では気づくか気づかないかくらいの色で (2017年2月13日 10時) (レス) id: b70d4562c3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - こんにちは。part1が分かりづらくちょっと大変でしたが、最初から最後まで読ませてもらいました(^ー^)最新話の夢主の「…馬鹿」がもう可愛すぎ!これからも頑張ってください! (2017年2月11日 15時) (レス) id: 23590d66be (このIDを非表示/違反報告)
鈴燈輝葵(プロフ) - 煉華☆さん» 双黒大好きなので楽しみです♪ (2017年1月9日 2時) (レス) id: 2f068cebfc (このIDを非表示/違反報告)
ふぅり(プロフ) - あ、ほんとだ、すみません、!!!フォローさせていただきます!(`・ω・´)ゝ (2017年1月8日 15時) (レス) id: d25cb7c6f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:煉華 | 作成日時:2016年12月7日 19時

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