拾玖頁─黒ニ交ワレバ 12─ ページ25
『取り敢えず、この勝負は引き分け。次会うときに私のことをどう呼ぶのかは君たちに任せるよ。私はこれから資料をまとめて首領に報告してくる。今日はお疲れ様』
ぱんっ、と手を叩いて一本締めの真似をする。
見ると二人はぽかんと拍子抜けしたような顔をしていた。
「...意外とあっさり終わるんだね。その様子だと天井のあれはフェイクなのかな」
『いや、落ちるには落ちるけど君等にはかすりもしない。大人の背丈に合わせてるから。別に気になるなら試してもらって構わないけど』
「へぇ、それじゃあお言葉に甘えて」
興味津々な目で天井を見上げ、わざと足を引っ掛けて仕掛けを作動させる。
細く切れやすくなっていた茶色のツルはプチッと小さな音を立て、同極同士を引っつけられた磁石のように素早く左右に弾き飛んだ。
その直後、重みに耐えきれなくなったそれが勢いよく空気を裂いて地面へと一直線に落下する。
太宰は上を向いたまま微動打にせず、ただ目から数十センチ先にまで迫ったそれをじっと見て口を歪ませた。
そして視線を横に戻し、一緒に見ていたであろう同い年の少年へと向ける。
彼は僅かに足を引いていた。
「あれれ〜?もしかして中也、今身構えちゃってた?」
「は、はァ!?ンな訳ねェだろうが!もしそうだったとしても、もしもの時の為だ!」
「えー、彼女はちゃんと大丈夫だって云ってたのに?あ、もしかして身長だけじゃなくて肝っ玉も小さいのかなぁ?」
「手前...ッ!出鱈目なこと云ってンじゃねェぞ!上等だ、今すぐ殴り潰してやるッ!」
目の前で繰り広げられる騒がしい云い合い。
中也の周りの空気がやけに重く感じた。
私を疑うのは悪いことではない。
それを踏まえて、もし本当だったときに異能を使っていたことを彼にバレるのを嫌ったのか。
ともかく流石にこうも興奮状態になられては手の出しようがない。
私の異能は今の彼らのように両極端だ。
『その活力羨ましいね。さてと、私は早く今回のことをまとめて首領に報告しないと。鍵は...ま、善いか』
私は言葉から拳へと変わりかける二人の争いを横目に、冷えてきた風から守るように負傷していない方の手を外套のポケットに入れてその場を後にした。
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煉華☆(プロフ) - ラズベリーさん» 返信遅れてしまいすみませんでした!先ほど承認を出させていただきました。双黒良いですよね、私も最推しです(*^^*) 最終更新からかなり日が空いてしまいましたが、今日から再開予定ですのでまた読んでいただけると幸いです。コメントありがとうございました! (2019年9月27日 8時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 燐華さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。わざわざ申請してもらったのにこう言うのはなんなのですが、文章をしっかりと読んだ上での申請をお願いしております。フレンド数の上限の関係でこうなってしまって本当にすみません!拒否はしてませんので良ければお待ちしております (2019年9月27日 7時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
ラズベリー(プロフ) - フレンド申請させていただきました。〈ラズベリー〉です!推しは旧双黒の2人です!このお話凄く面白いのでこれからも更新頑張って下さい! (2019年9月18日 16時) (レス) id: 56fb91a534 (このIDを非表示/違反報告)
燐華(プロフ) - フレンド申請させていただきました。ユーザー名は彼岸花です。 (2019年9月18日 9時) (レス) id: 7838562921 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - サナさん» いただければ幸いです。 (2019年7月5日 15時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2016年12月19日 15時